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 11月21日(火)-24日(金)、26日(日)に開催した「第22回アートフィルム・フェスティバル」で、目玉となる作品の一つにクリス・マルケルの『レベル5』(1996年)がありました。プログラム上は〈渡辺真也『Soul Odyssey ユーラシアを探して』名古屋初上映 パイクとボイス、そしてマルケル〉を構成する一本となるのですが、この上映会で二回上映するのも、海外作品で新規に日本語字幕を作成したのもこの作品のみなので、上映スケジュールに目を通した方であれば、本作が特別な扱いであることは分かるでしょう。

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クリス・マルケル 『レベル5』 1996年 Level5

 上映前のアナウンスでも伝えたことですが、この映画の日本初上映は「山形国際ドキュメンタリー映画祭1997」でした。この映画のナレーションを翻訳された、クリス・マルケル・ファンクラブの福崎裕子さんから、この時マルケルの指示により、事実関係を正す意図で翻訳に際し修正した箇所が二つほどある、という興味深いエピソードを伺うことができました。つまり日本語字幕の方が内容的には正確、ということになるのだそうです。

 今回『レベル5』に新たに字幕を付けて上映することになった経緯として、渡辺監督が『Soul Odyssey』の制作に際し、マルケルが創始した「フィルム・エッセイ」の手法を参照していたという影響関係に加え、作中に『レベル5』を引用していて、その引用箇所使用に際し、『レベル5』を制作・配給したフランスの映画会社「アルゴス・フィルム」とのつながりができたことが挙げられます。つまり渡辺監督を通じて交渉することで、今回、本作上映への活路が見出せるのでは、という読みがありました。