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松藤孝一さんによるレクチャーのレポート

2008年11月11日

11月2日、テーマ展出品作家松藤孝一さんのレクチャーが行われました。松藤さんのこれまでの歩み、ガラスの赤ちゃんの制作過程などをお話していただきました。
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↑レクチャー後質問を受ける松藤さん

簡単ですが、レクチャーの内容を一部ご紹介!
今回展示しているガラスの赤ちゃんの原形が誕生したのは、アメリカ留学中のこと。その当時社会問題となった「クローン」から生れました。アメリカでは、コンセプトやテーマ性のある制作が重要視されたそうです。
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↑《Copy-babies》1999年

日本に帰国後、日本美術に触れたことを通して、ガラスの赤ちゃんは進化を遂げていきます。特に康勝作《空也上人像》を知ったときの衝撃は、とても大きかったそうです。赤ちゃんの口から蝶が飛び出した作品は、この康勝の作品から着想されました。

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↑あまりに斬新な造形!!康勝作《空也上人像》13世紀初期 京都・六波羅蜜寺 
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《宙遊赤子座像》

制作過程も興味深いです。最初は蝋で赤ちゃんの形を作ります。
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↑黒い蝋で作るので、ガラスとはずいぶん印象が異なります。
蝋から石膏で型をとり、そこへガラスを流し込みます。それからガラスを何日もかけてゆっくりと冷やし、ようやくガラスの像ができます。さらにガラスの表面を磨き、ふっくら、つるっと滑らかな赤ちゃんの肌が仕上がります。

また赤ちゃんは目にも注目!です。目は表情を左右する一番重要な箇所で、目の形や大きさ、色など、今回松藤さんが特に試行錯誤を重ねたところです。

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↑《宙遊赤子座像》部分

現代美術の面白いところは、アーティストの作品を、制作された同じ時間・時代の中で享受できるところ。レクチャーでは、長い時間を積み重ね、また出会いや経験、偶然の出来事を通して様々な試行錯誤や模索を繰り返してきた松藤さんの制作が良く分かりました。そしてたどり着いた今回の展示。過去のどの作品とも違うものになっていて、ガラスの赤ちゃんが醸し出すなんとも不思議な空間が体感できます。松藤さんの「今」をぜひ目撃してください!!

(MRM)

松藤孝一さんのHP→http://www.koichimatsufuji.com/