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展示替え

2008年12月25日

 23日(火)の天皇誕生日に『ライオネル・ファイニンガー展』が終了しました。みなさま楽しんでいただけたでしょうか。
展覧会が終わると、休む間もなく次に始まる展覧会への準備が始まります。その展示替えでの1コマをご紹介しますっ。
まずは、展示していた作品を壁から下ろして輸送できるように箱へしまっていくのですが、そのまますぐ箱には入れずに、作品の状態を点検します。作品には、状態を記録するチェックシートがあり、展示期間中作品に何か問題はなかったどうかを1つ1つ点検していきます。

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▲写真左の紙がチェックシート

▲点検中の学芸員。真剣な表情ですね。。。

 次に点検が終わったものから、梱包されていきクレートと呼ばれる作品輸送用の箱へ収納していきます。クレート内部は、スポンジが敷き詰められ、移動中の衝撃を作品が受けないように工夫がされています。さらに、クレートの箱はボルトでがっちり固定されているので何かの拍子に開くこともありません。大きいものとなると、ちょっとした部屋にもできそうなサイズのものもあります。

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▲真ん中の白いものが作品です。まわりをスポンジで固定しています。

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▲大・小様々なクレートたち 

 ファイニンガー展は、巡回展なのでこれらの作品は、次会場の宮城県美術館へ向かいます。

昨日、美術館を出発したのでもう着いているかもしれませんね。

◎さて、ここで間違い探しに挑戦してみましょう!

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写真A

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写真B

 

 たくさんあったかと思いますが、、、注目してほしいのは展示室の壁です。 
展示室の壁は、可動壁になっているので、展覧会ごとに壁の移動をして会場の雰囲気をがらりと変えることができます。移動をするのは、そんなに力を必要としないので2人ぐらいでできちゃいます。
現在は、写真Bのようになっていて、次回展覧会アンドリュー・ワイエス展仕様になっています。壁の移動が終わったら、会場のディスプレイをし、作品を搬入し、展示へと進んでいきます。その様子については、またいつかご紹介したいと思います。
どのような展示に仕上がるのか楽しみにしていてくださいっ

 さーって、まだまだ作業が残っているので、展示作業へ行ってまーす。
(RK)
 

 

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↑愛知県美術館の看板作品、グスタフ・クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》(1903年)

 

 今年春、この作品を展覧会へ貸し出すため、イギリスのリヴァプールにある美術館まで作品と一緒にでかけました。(←これはクーリエという仕事です。この仕事については、9月21日のブログに詳しい説明があります)
 クリムトに関する作品が世界中から集まり、展示作業には作品を貸し出す美術館の学芸員たちが立ち会いました。《人生は戦いなり》が開梱され、壁にかけられたとき、他の美術館の学芸員たちが作品の周りに自然と集まり、「ビューティフル!!」と称賛の声があがりました。自分のものじゃないけれど、なんだかとっても誇らしい気持ちになりました。

 クリムトといえば、《接吻》のように女心をくすぐる、装飾模様に彩られた甘美な作風が一般的に知られているように思います。

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↑《接吻》(1907-08年)、オーストリア美術館

 一方、《人生は戦いなり》に描かれているのは、金の甲冑を着けた「黄金の騎士」。クールでかっこいい印象です。この作品の制作にあたって、クリムトはアルブレヒト・デューラーの版画作品《騎士と死と悪魔》(1513年)を下敷きにしたと考えられています。
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↑馬に乗った騎士は、彼を邪魔しようとする死神や悪魔を無視して歩みを進めています。

  《人生は戦いなり》のなかで、騎士を邪魔する悪者はヘビ。

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 画面左下にいる金色のヘビが、黄金の騎士の行く手を阻んでいます。けれど、ヘビはまた楽園の象徴でもあります。そう、イヴにりんごを食べさせたヘビのことです。
 小さな花々が咲く楽園を進む騎士。戦う騎士と幸せな楽園…ってなんだかミスマッチですが、この作品には、当時のウィーンの保守的な美術界に戦いを挑みながら表現の自由を探求し、後に《接吻》のような優美な世界の創造にいたるクリムトの歩みがしるされているのかもしれません。
 この作品はほかにもまだまだ見どころ一杯!!作品の近くでよく目を凝らしてみると、馬の美しい毛並みの描写がよく分かります。

 また隠し絵のように、木の幹には怪しげな男の姿が見えます。

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↑男の顔がどこにあるか分かりますか?
 

 こうやって実際の作品をよく観察すると、いろんな発見があります。

 クリムトの作品を所蔵している美術館は、日本国内ではたった数館。そのうちの3館は豊田市美術館飛騨高山美術館、当館となぜか東海地方に集中しています。この冬、クリムト巡礼の旅なんていかがでしょうか。

(MRM)

(当館と豊田市美術館は2009年3月までの所蔵作品展で展示予定です)

   愛知県美術館では、主に日本画や工芸品などを展示する場合、作品の状態や安全を考えて、作品を展示ケース内に展示しています。美術館によく足を運ばれる方は「展示ケース」と言ってもいろいろな種類があることに気付かれるでしょう。愛知県美術館で「あんどんケース」と呼んでいるのは、そんな展示ケースのひとつ。(※当館以外では通用しないことがありますのでご注意下さい。)4面ともガラス張りなので、作品を前後左右から鑑賞していただくことができ、単独で照明を調節することも可能なため、比較的小型の彫刻や工芸品を展示するのに効果的です。「あんどんケース」と呼ぶ理由は、木の枠に和紙を貼って中に火を灯した「あんどん」(行灯・行燈)に形が似ているから。何種類もある展示ケースを区別してこう呼んでいます。

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   呼べば呼ぶほど癒される(?)「あんどんケース」。現在、愛知芸術文化センター地下2階南通路『フォーラム・プロジェクト:小さな彫刻展』で使用しています。

(MI)
 

 12月9日から始まったファイニンガー展関連イベント「クリスマスツリーのオーナメントを作ろう」(ブログ12月9日記事参照)、大好評です!

 

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▲ツリーは今こんなふうになってます!

 

 最初は丸裸だったツリーも少しずつオーナメントが増えていき、今ではこんなにきらびやかになりました! 毎日いろいろな方々が参加してくださっています。親子、友達同士、恋人同士でわきあいあいと、あるいはお独りで黙々と。私たち美術館スタッフも、ツリーがどんどん賑やかになっていくのを毎日楽しく眺めています。

 

 それでは突然ですが、今日までにみなさんに作っていただいたオーナメントの中からTO学芸員が独断と偏見で選んだBEST5を発表させていただきます(順不同)。

 

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▲記念すべきオーナメント第1号です! 作ってくださった方、一番のご参加ありがとうございました。

 

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▲なんてカワイイしろくまさん! 赤いマフラーを巻いて、マツボックリの上に腰掛けてます。

 

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▲何かのキャラでしょうか? その道に詳しいKS学芸員に聞きましたが特定できず。

オリジナルかな? 赤・青・黄の髪の三つ編みがきれいです。

 

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▲すごくおいしそう! 真ん中には雪ダルマがちょこんと載っています。メリークリスマス!

 

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▲真っ赤なバラの花束を右手に持った男の子が大粒の涙を流しています。

何があったのでしょう!? クリスマスまでめげずにがんばれ!


 このファイニンガーのツリー・イベントは中日新聞のウェブサイト(http://event.chunichi.co.jp/feininger_xmas.html)でも紹介されていますので、そちらもぜひご覧ください!
 

(TO)
 

ワイエスの寄贈作品

2008年12月10日

 今回の「アンドリュー・ワイエス 創造への道程(みち)」展に出品されている愛知県美術館所蔵作品は、2006年にアンドリュー・ワイエス夫妻から直接愛知県美術館に寄贈を受けた作品です。

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↑左側が愛知県美術館所蔵の《氷塊I》(1968年) 「アンドリュー・ワイエス―創造への道程」(Bunkamura ザ・ミュージアムの展示風景)

 ワイエス夫妻からの寄贈作品を所蔵している美術館は数多くあるわけではありません。愛知県美術館が寄贈の話をいただいた時、ワイエス・プライヴェート・コレクションの学芸員であり、マネージャーのメアリー・ランダ氏は、「これまでワイエス夫妻が美術館に寄贈したことはなかった!」と述べていました。愛知県美術館へ寄贈を頂いたと同時期にフィラデルフィア美術館にも複数の素描類が寄贈されましたが、それは同年に大規模な回顧展を開いたからだと推測できます。
 では、愛知県美術館へはどうして寄贈されたのでしょうか?愛知県美術館では1995年に大規模なワイエス展を開きました。その頃はバブル景気のなごりで、数多くのワイエスの作品が日本にありました。今から思うと信じられないくらいの質をもった、つまり代表作として数えられるような作品が、それも数多くあったのです。その展覧会後、愛知県美術館はいくつかの所蔵先から寄託を受けました。その数およそ40点。その中には1976年、メトロポリタン美術館で開催された「アンドリュー・ワイエスふたつの世界」展の中心を成したコレクションも含まれていました。また、そうした寄託品を預かるとともに個人所蔵家の作品をアメリカで開催されたワイエスの展覧会に借用する交渉の手伝いをしたりして、ワイエス家との良好な関係を保って来ました。
 そして寄贈を受けた2006年にもアメリカで開かれた「アンドリュー・ワイエス メモリー・アンド・マジック」展への日本からの借用にも力を貸したのでした。今から思えばそうした長年にわたる作品保護や協力関係に対するお礼だったのではないかと考えられます。
 作家やその遺族、あるいは所蔵家との関係は展覧会の時の一度きりの関係ではありません。美術館活動は派手な企画展に目が行きやすいのですが、表舞台には出にくい地道な活動がやがて花開くことのあることをこの作品の寄贈が示しています。
 ただ、あれほどたくさんあったワイエスの寄託品はそのほとんどが現在はアメリカへ売られて戻って行ってしまいました。うーん残念!

(ST)
 

    ライオネル・ファイニンガー展の関連イベント、「クリスマスツリーのオーナメントを作ろう」が今日から始まりました!

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▲当館のロビーに飾られたクリスマスツリー

    このブログですでにご紹介したように、ファイニンガーは絵を描く以外に、小さなおもちゃもたくさん作っていました。その中には、クリスマスツリーのオーナメントとして作られたものもあります。それにちなんでのイベントです。

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▲ファイニンガーっぽい汽車

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▲ファイニンガーの絵に登場するキャラクターもいっぱい!

    現在、ファイニンガー展に来てくださったお客様のうちご希望の方に、いろんな色の粘土でクリスマスツリー用の小さなオーナメントを作ってもらい、当館のロビーに設置したツリーに飾り付けてもらっています。参加は1日限定10名様(土日祝は20名様)。このイベントは展覧会最終日の12月23日(火・祝)まで、休館日を除いて毎日実施されます。その間オーナメントは増え続け、ツリーはどんどんにぎやかになっていきます。最終日には、ツリーはどんな姿になっているでしょうか。どうぞお楽しみに!

(TO)

 愛知県美術館の所蔵品展示のお話です。愛知県美術館では常設展という表現をしていません。それは展示されている作品が固定的ではなく、企画展の会期にあわせて、大幅な展示替えを行い、そのつど特集展示やテーマ展などもしているからです。ルーブル美術館のように、モナ・リザはこの展示室、といった固定的な展示ができる作品ばかりになればうれしいのですが、また、展示室の数もたくさんあればいいのですが、そういうわけにも行きません。作品保存の観点からも、日本画のように出しっぱなしにすることが難しい作品が多いのも、展示替えを必要とする理由のひとつでもあります。
 さて、現在の展示(12月23日まで)ですが、所蔵作品展とはいいながら、愛知県美術館の所蔵品でない作品が、たくさん展示室に並んでいます。どうしてかって?それは、現在開館20周年を過ぎて改装工事をされている小牧のメナード美術館の作品を預かっており、そのなかからの選りすぐりを、愛知県美術館の所蔵品と一緒に展示しているからです。
 以前にも、東京国立近代美術館が工事のときにその所蔵品を預かり、また三重県立美術館の工事のときも作品を預かって、愛知県美術館の所蔵品展示室で公開しました。作品を預かることになるのは、やはり愛知県美術館の日ごろの活動と収蔵設備の充実、他館との人的ネットワークが大きな要因でしょう。


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 今回も同じように普段ではなかなか見ることのできない、組み合わせで展示室を一段と豪華にしています。たとえば、愛知県美術館が誇るクリムトの《人生は戦いなり》の壁を隔てて隣には、メナード美術館の白眉、ジェームス・アンソールの《仮面の中の自画像》が見られますし、近代日本洋画の展示室では、中村彝の俊子像が3点(愛知県美術館の《少女裸像》、メナード美術館の《婦人蔵》、《少女像》)もそろい踏みをしていたり、小出楢重の典型的な静物(愛知県美術館蔵)と裸婦(メナード美術館蔵)が、あるいは、安井曽太郎の油の乗った時期の風景画(《承徳喇嘛廟》愛知県美術館蔵と《焼岳》メナード美術館蔵)が競演しています。

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 さらに、前室2には舟越桂の作品《肩で眠る月》(愛知県美術館蔵)と《長い休止符》(メナード美術館蔵)が静かな雰囲気を醸し出しています。
 

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 ロビーにあるのはメナード美術館の守護神?マリノ・マリーニの木彫の代表作《馬と騎手(街の守護神)》です。ちかくにある愛知県美術館のルイーズ・ニーヴェルソン《漂う天界》の黒とよい対照を成しています。
 このように普段の見慣れた愛知県美術館の所蔵品が、比べて見られる作品が一緒にあることで、また別の側面を見出すことができる展示になっています。企画展のファイニンガー展とともにこの機会に是非、所蔵作品展も楽しんでください。

(ST)

メナード美術館 リニューアル・記念特別展
島田鮎子―たおやかな色と形
2009年4月25日―6月28日

 今年ももう12月にはいり、寒い毎日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。自転車通勤の私は手袋とマフラーが欠かせません。

 さて、愛知県美術館にはミュージアムショップが併設されています(ロビー内にあるので美術館にいらっしゃったことのある方は御存知だと思いますが...)。ミュージアムショップでの買い物は、美術館めぐりのひとつの愉しみですよね。美術館ごとに商品のラインナップが全く違うので、初めて訪れる館のショップには色々と期待してしまうものです。愛知県美では、過去の展覧会カタログやポストカードなどの一般的に販売されているものの他に、当館ならではのオリジナル・グッズを取り揃えています。

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 その中でも「しまマフラー」(各5,670円税込)は、この季節にぴったりの人気グッズのひとつです。製造元は、群馬県桐生市の繊維メーカーさんで、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のミュージアムショップでも同社のマフラーが販売されています(なんと4年連続の売上数量第一位だとか)。

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 実はこのマフラー、それぞれに愛知県美所蔵のある作品の色を参考にした配色になっています。元ネタの作品がなんだかわかりますか?(答えはこの記事の右下の「続きを読む」に隠してあります笑)。これまで2パターン販売してきたのですが、今週から店頭に新色が登場しました。

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 こちらも同じく当館所蔵作品が元ネタなので、どの作品か考えてみてください。

 この他にも熊谷守一の猫を象ったキーホルダーやピンズなど、所蔵作品に関連した様々なグッズがあります。また芸術文化センターの地下二階にはアートショップNADiff愛知が入っており、アート関連書籍や雑貨がたくさん。「ちょっと美術館へ買い物に」というのも美術館の愉しい利用法かもしれません。

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▲スタッフにマフラー付けてもらって撮影してたら、お前が全色同時につければいいじゃないかと言われたので付けてみました...。

(KS)