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現在の所蔵作品展の見どころ

2008年12月04日

 愛知県美術館の所蔵品展示のお話です。愛知県美術館では常設展という表現をしていません。それは展示されている作品が固定的ではなく、企画展の会期にあわせて、大幅な展示替えを行い、そのつど特集展示やテーマ展などもしているからです。ルーブル美術館のように、モナ・リザはこの展示室、といった固定的な展示ができる作品ばかりになればうれしいのですが、また、展示室の数もたくさんあればいいのですが、そういうわけにも行きません。作品保存の観点からも、日本画のように出しっぱなしにすることが難しい作品が多いのも、展示替えを必要とする理由のひとつでもあります。
 さて、現在の展示(12月23日まで)ですが、所蔵作品展とはいいながら、愛知県美術館の所蔵品でない作品が、たくさん展示室に並んでいます。どうしてかって?それは、現在開館20周年を過ぎて改装工事をされている小牧のメナード美術館の作品を預かっており、そのなかからの選りすぐりを、愛知県美術館の所蔵品と一緒に展示しているからです。
 以前にも、東京国立近代美術館が工事のときにその所蔵品を預かり、また三重県立美術館の工事のときも作品を預かって、愛知県美術館の所蔵品展示室で公開しました。作品を預かることになるのは、やはり愛知県美術館の日ごろの活動と収蔵設備の充実、他館との人的ネットワークが大きな要因でしょう。


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 今回も同じように普段ではなかなか見ることのできない、組み合わせで展示室を一段と豪華にしています。たとえば、愛知県美術館が誇るクリムトの《人生は戦いなり》の壁を隔てて隣には、メナード美術館の白眉、ジェームス・アンソールの《仮面の中の自画像》が見られますし、近代日本洋画の展示室では、中村彝の俊子像が3点(愛知県美術館の《少女裸像》、メナード美術館の《婦人蔵》、《少女像》)もそろい踏みをしていたり、小出楢重の典型的な静物(愛知県美術館蔵)と裸婦(メナード美術館蔵)が、あるいは、安井曽太郎の油の乗った時期の風景画(《承徳喇嘛廟》愛知県美術館蔵と《焼岳》メナード美術館蔵)が競演しています。

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 さらに、前室2には舟越桂の作品《肩で眠る月》(愛知県美術館蔵)と《長い休止符》(メナード美術館蔵)が静かな雰囲気を醸し出しています。
 

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 ロビーにあるのはメナード美術館の守護神?マリノ・マリーニの木彫の代表作《馬と騎手(街の守護神)》です。ちかくにある愛知県美術館のルイーズ・ニーヴェルソン《漂う天界》の黒とよい対照を成しています。
 このように普段の見慣れた愛知県美術館の所蔵品が、比べて見られる作品が一緒にあることで、また別の側面を見出すことができる展示になっています。企画展のファイニンガー展とともにこの機会に是非、所蔵作品展も楽しんでください。

(ST)

メナード美術館 リニューアル・記念特別展
島田鮎子―たおやかな色と形
2009年4月25日―6月28日