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いるのもケモノ類

2009年03月31日

 あいちトリエンナーレ2010のプレイベント・現代美術の発見Iということで、「アニマルズ in AAC―三沢厚彦の世界」が愛知芸術文化センターのフォーラムで3月24日から開催されています。トリエンナーレでは草間彌生渡辺英司西野達島袋道浩ヤン・フードンホアン・スー・チエダビデ・リヴァルタなどの作家が出品を予定しています(まだまだ順次増えていきます)が、まずそれに先駆けて、この愛知芸術文化センターや現代美術そのものに多くの方に親しんでいただこうということで、三沢さんにこのセンターの複雑な空間を活き活きと使ってもらうようお願いしたのがこの展覧会です。

 フォーラムでの展示・開催と平行して、美術館のなかでも4月3日のオープンに向けて着々と準備が進んでいます。今回は普段なかなか見ることのできない彫刻展示の様子をご紹介しようとおもいます。

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▲マルミミゾウの頭が美術館の入口からフォーラムへ移動中。

 基本的に美術館は展示室に作品を展示することを考えて作られていますので、その他の場所へ移動するのは結構大変。このゾウの頭を通すために扉を一時外してあります。

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▲クレーンで吊らないと重くて持ち上がりません。

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▲台車に乗ったワニ。四人がかりで移動します。ワニちょっと楽しそう。

頭からしっぽまでで6m近くあります。他の美術館スタッフも異様な迫力が気になるのかちょくちょく様子を見に来てくれます。

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▲展示と平行して展覧会リーフレットのための撮影も。

展示が終わった作品からどんどん撮っていきます。撮影は深夜まで続きました。

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▲地下2階のNADiffさんでは展覧会にあわせて三沢厚彦特設コーナーができていました。グッズすごく充実してます。

 春休みにフォーラムでの展示をご覧になった方も、4月3日から美術館でシロクマやワニ、ユニコーンが首を長くして待っていますので、是非また足を運んでみてください。タイトルは前回に引き続き回文です。
(KS)

さて、アヴァンギャルド・チャイナ展は大阪の国立国際美術館での展覧会が終了し、いよいよ残すは名古屋会場での開催となります。というわけで、作品の搬出作業のために大阪へ行ってきました。

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↑国立国際美術館です

 絵画作品は通常どおり、壁から外して輸送用の箱(クレートと言います)にしまいます。この辺の手順は、以前、クリムト作品の輸送の際にお話したとおりですね。一方、孫原+彭禹の《老人ホーム》などの場合はそうはいきません。電気回線をオフにした後、おじいさんをみんなで持ち上げて、箱にしまいます。

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↑丁乙の絵画作品を壁からはずしています。

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↑《老人ホーム》のお爺さんを箱につめています

 全ての作品を箱につめ終えたらトラックに乗せて名古屋へ出発です!名古屋へ帰ったら作品の展示が待っています。皆様に作品をお見せできるのも、もうすぐですよ。

(F.N)

* おまけ
国立国際美術館のある大阪、中之島は一見、ビジネス街なのですが、大通りを一本入ると色々なお店のある楽しいエリアです。中でも、国立国際美術館のすぐ横にあるgrafはおすすめです。grafは家具や空間のデザインから展覧会企画(注1)にいたる幅広い活動で知られていますが、2階のカフェもなかなか良いですよ。

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↑塩キャラメルバタークレープ!

注1:ただいま愛知芸術文化センターで展覧会をされている三沢厚彦さんとも、4月より軽井沢メルシャン美術館で始まる展覧会をはじめ、しばしば一緒にお仕事されています。
 

 美術館に展示されている作品のそばには、作品の作者やタイトルなどが表示されています。この表示をキャプションと呼んでいます。(図録などに載る図版の横にある表示もキャプションと呼びます。)
 美術館によって、また企画展によってキャプションの形や大きさ、表示されている内容は異なります。愛知県美術館所蔵作品展示室で使用しているキャプションは約15×15cmの正方形。上半分は日本語による表記、下半分は英語による表記で、1作家名、2作家の生没年と生没地、3作品名、4制作年、5技法材質、6その他(寄贈者のお名前、木村定三コレクション、寄託作品など)を表示しています。

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 実は、以前のキャプションはもっと小型で、表示されている情報も少なかったのですが、年齢や居住地、職業などより幅の広いお客様にご来館いただけるように、と改良を重ねてきました。

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↑上が現在所蔵作品展で使用しているキャプションの一般的なかたち。下は以前使用していたもの

(注:それぞれ違う作品のキャプションです)。文字が大きくなり、生没地が表示されるようになりました。作家の出身地が自分のふるさとと同じだったりすると、なんだか親近感がわいてきませんか。

 そして、キャプションを掲示するために欠かせないのがキャプションケースとアクリルピンです。
 キャプションケースは透明なアクリル製で、キャプションを差し込めるようになっています。キャプションケースを使えば、キャプション自体には汚れや傷が付きにくいので、展示替えで作品や作品の位置が変わっても、一度作ったキャプションを繰り返し使うことができます。また、簡単にキャプションを差し替えることができるため、作品が変わっても、同じキャプションケースが使用できるので効率的です。
 キャプョンケースには、床や展示ケースに置くことできるスタンド型のものと壁付け型のものがあります。壁付け型のキャプションケースを壁に固定するために使うのがアクリルピンです。キャプションケースに空けられた2つの穴にピンを刺して壁に固定します。アクリルピンとは呼んでいますが、頭部分が透明アクリルになっている、いわゆる画鋲のことですので、みなさんのお宅や職場にもあるかもしれませんね。
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↑スタンド型のキャプションケース

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↑キャプションケースとアクリルピン

 作品を展示する作業よりも先にキャプションを付けてしまうと、作品や作品を持った作業員さんの体にキャプションケースが当たって作品を傷付けてしまう可能性があるため、キャプションを掲示する作業は作品自体の展示が終わってから行います。展示室の壁は堅いので、画鋲を使うようにはいきませんが、同じ壁に掛かっている作品に振動を与えないよう心がけて作業をしています。

 ※本文中で所蔵作品展でのキャプションを紹介しました 熊谷守一《土饅頭》、ヴィルヘルム・レームブルック《立ち上がる青年》、パブロ・ピカソ《青い肩かけの女》は東京都美術館にて4月25日より開催の「日本の美術館名品展」に出品予定です。企画展ではどんなキャプションが付けられるのでしょうか。

(MI)

 3月8日にワイエス展が終わり、次のアヴァンギャルド・チャイナ展が始まる4月3日まで、企画展はしばらくお休みです(22日まで所蔵作品展だけは開いていますヨ)。
 展覧会をしていない企画展示室の中はいったいどうなってしているのでしょう。閉ざされた扉の向こうでは、チャイナ展の準備が着々と進んでいるのです。
 チャイナ展は22日まで大阪の国立国際美術館で開催中なので、それが終わって作品が愛知県美術館に入ってくるまでに準備できることはしておかないといけません。できることは展示室内のディスプレイ工事です。絵を飾る壁を作ったり、映像を映す個室(ブース)を作ったりしています。
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↑壁を立てる位置を計測

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↑壁になるパネルをつなげていく

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↑半分くらい立ったところ

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↑つなぎ目を合わせる

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↑パネル同士を留めてほぼ完成

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 ↑目地にトノコを塗って経師の準備。プロジェクターを付ける台も取り付け完了


 写真は、がらんとした展示室に楊福東(ヤン・フードン)の作品を映すための幅3メートルの壁8面を円弧状に立てていく様子です。東京では使ったけれど大阪では使わなかったプロジェクター用の台だけが先に届いたので、壁に取り付けました。あとは壁紙を貼れば受け入れ準備の完了です。
 
 壁の裏の空間はどうするのかって? やはり気になりますか。映像機器が入っていた箱などを収納する倉庫として使います。
(H.F)

 去る2月26日(木)と28日(土)、「視覚に障害のある方へのプログラム」を開催しました。これは所蔵作品展の鑑賞を主として10年以上続けているものですが、今回は「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」展が対象。2日間を午前午後に分けた4回で、のべ42人が参加されました。

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 「目の見えない人がどうやって美術鑑賞を?」と思う方も多いでしょう。彫刻なら手で触れてもらうこともありますが、絵画の場合は言葉で説明し、頭の中に絵を思い描いていただきます。初めに学芸員の私から画家ワイエスや彼の絵のテーマなどについてお話ししたのち、参加者一人ずつにガイドが付き添って展覧会場をまわります。ガイドは「名古屋YWCA 美術ガイドボランティアグループ」の皆さんです。

 さて、言葉で絵を描くにはどうしたら? 客観的な説明法としては、例えば「雪景色の中に二人の人がいる絵」と主題を伝えた上で、絵の大きさや縦横の比率を話し、続いて画面のどのあたりに道や木や人が配置されているのか、そして人の性別や年齢、衣服、ポーズや表情など細部へと進めていくのがいいようです。でもこれだけでは絵が芸術作品になりません。その風景や人物と画家との関係といった情報を加え、構図や色彩・光・筆のタッチなどの効果を読み取り、画家の表現意図を解釈する必要があります。ちょっと難しそうですが、そこまで話そうと思うと、説明する人にも絵がどんどん見えてきます。さらには自分自身がその絵をどう感じたか、個人的な思い出なども交えて会話ができると楽しいですよ。このブログをお読みの皆様も、一度お好きな絵の説明を考えてみてください。

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 絵の説明の補助として、黒で描いた部分が盛り上がって手で触れられる「立体コピー」も用いています。今回はWYCAの方々が4点のコピーを作ってくださいました。ところどころ線の太さを変えたり、網がけで面の手触りを変えたりといった工夫がされています。これら4点には私が解説文を書いてガイドの資料にするとともに、参加者にお持ち帰りいただけるよう点字にもしてもらいました(点訳にはボランティアグループ「六点会」のお世話になっています)。

↓立体コピー (手前に描かれているものと、遠くに描かれているものが、手触りで違うことが分かります!)

 

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 参加者は1時間半のプログラムが短く感じられるほど熱心に鑑賞され、後日「美術ボランティアのかたがたのおかげで目の障害があっても見えてきます」、「ワイエスの小説の中に入り込んで、ワイエスの視線で作品を見せていただき、私の脳裏に強く残り深く鑑賞する事ができました」といった感想が寄せられました。            (TM)

4月にYWCAのガイドボランティア養成講座がひらかれます。お問い合わせは
電話052-961-7707 メールyyy@nagoya-ywca.or.jp

アニマル見るマニア

2009年03月12日

 来月から始まる「アニマルズ in AAC―三沢厚彦の世界」展のために、作家の三沢さんの制作現場にお邪魔してきました。製材所の一部を間借りして、ほぼ等身大の動物が二体並んでいました(これは残念ながら今回の展覧会には出品されませんが…)。材料のクスノキの良い匂いが立ち込めています。

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▲左はウマ、右は…さてなんの動物でしょう?


 この展覧会は「あいちトリエンナーレ2010」に向けてのプレイベントということで、通常の美術館展示室で行われるものとは違って、芸術文化センター全体を使って作品を展示します。つまり、美術館以外にも、オアシス21から繋がっている地下2階や、2階の地上エントランス、8階の壁面など、色々な場所に動物たちがうろうろしているということです。

 展示場所が散らばっていて、いくつか見逃しちゃうお客さんもでかねないし、どうしたものか、と色々考えて、スタンプラリーをすることにしました。全部制覇した方には豪華賞品!とまではいかないですけれど、まあちょっとしたプレゼントは用意できるかも知れません。スタンプを作りたいという話を三沢さんにお伝えしたところ「僕が描きますよー」と快く引き受けてくださいました。ということでオリジナルスタンプができることに!

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▲スタンプ用のドローイングです。


 全部で16体ほど展示するんですが、ひとつひとつがものすごく大きくて重い。一番大きなゾウは600kg前後あるそうです。だから輸送も展示も大仕事。展示場所まで移動する経路を確保するために、美術館の入口ガラス扉をこのために一時外してもらうなど、綿密な計画を立てておかないと、「やばい、これ入んないじゃん…」と当日途方にくれてしまうなんてことになりかねません。

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▲ゾウができるまでの様子は絵本になっていますよ。


 皆さんが来館されたときには、動物たちが無事のびのびと芸文センターを占拠(?)できていますように!展示の様子はまた後日お伝えしたいと思います。

(記事タイトルは回文です。内容とはあんまり関係ありません)
(KS)

  今年度の木村定三コレクションの新しいビデオ番組が出来ました。木村定三コレクションの全貌を紹介するため、毎年テーマを決めて制作しています。今年度は「近代の美術」を制作しました。
  ↓美術館ロビーのビデオテークで見ることができます。

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↑ 画面メニュー

  これまで制作された木村定三コレクションのビデオには、「木村定三コレクション」「感銘を求める旅」「江戸絵画への誘い」などがあります。いずれもビデオテークで鑑賞できますのであわせてご覧ください。

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 また、美術館所蔵作品や所蔵作家を紹介するプログラム、その他美術の歴史や現代作家シリーズのプログラムもありますので、こちらも美術鑑賞に合わせ、ぜひご利用ください。

(HK)
 

  2月12日のブログでも触れましたが、1月31日にペンシルヴェニア州チャッズ・フォードのワイエス家の近くにあるブランディワイン・リヴァー美術館でアンドリュー・ワイエスの追悼展がありました。
 それにあわせて、今回の展覧会でも多くのワイエス作品を出品していただいている丸沼芸術の森の主宰者須崎勝茂氏と学芸員の中村音代さんが、訪米されました。その様子を教えていただきましたので、ここで少しご紹介します。

 前日の30日、天気は快晴だったが、一面の雪景色。ブランディワイン・リヴァー美術館では、追悼展の準備がされており、正面玄関ではアメリカ式の喪中のしるしなのか、松のリースの下に黒い長い布がつけられたものがウインドウに並べてさげられていました。また、展示室入り口では、大きく引き伸ばしたワイエスの写真と共に、これまで多くの大学から贈られた数多くのメダルやバナーが展示され、またケネディ大統領や、一昨年ブッシュ大統領から贈られた大きなメダルも飾ってありました。
 ワイエス・ギャラリーでは中央に、ニューヨーク近代美術館から特別出品された《クリスティーナの世界》が展示されていて、人だかりができていました。ニューヨーク近代美術館は絵の状態が悪いので貸し出しはしないといっていましたが、注意深く見ても絵は完璧に思えました。そしてニューヨーク近代美術館で見たときよりもここではなぜか大きく感じられたということです。この作品の展示は翌2月1日までの2日間だけ。
 翌日の追悼展の日は、一日限り無料開放で、朝開館15分ほど前に美術館へ行くと、開館を待つ人がすでに門まで100mほどの長蛇の列をつくっていました。これまで満杯になったところを見たことのない駐車場には、車が入りきれずに国道1号線沿いにも駐車の列が出来ていました。予想通り、開館時間になると美術館の中はあっという間に大混雑。もともと、さほど広くはない美術館は人であふれかえり、ワイエスの作品と特に《クリスティーナの世界》を見ようとする人々の長い列が出来ていました。

 日本における「?を偲ぶ会」式のセレモニーや宗教的な行事はありませんでしたが、多くの人がワイエスの画業を偲ぶために訪れていたということです。また、ワイエス家からの希望で、献花の気持ちがあれば、それに代えていくらでもいいのでと美術館に寄付を募っていました。寄付は日本からでもできます。ブランディワイン・リヴァー美術館のホームページ(→www.brandywinemuseum.org/をご覧ください。

(ST)