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江戸絵画、修理中

2009年05月14日

美術館は作品を展示する所ですが、美術館が所蔵した時点で、傷んでいる作品も少なくありません。そうした作品を、安全に展示し続けられるように修理することも、美術館の大切な仕事です。大きな修理が必要なものは、専門の修理所に「入院」させ、1年から2年がかりで修理をすることになります。今もいくつかの作品が修理中で、江戸時代の伊藤若冲の《伏見人形図》(木村定三コレクション)もその一つです。

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▲伊藤若冲 《伏見人形図》

かわいらしい伏見人形の布袋様を描いたこの作品は、紙の折れや絵具の剥落がひどく、このまま展示を続けると傷みが進んでしまうおそれがありました。また、表具(ひょうぐ)のうち、「一文字(いちもんじ)」と「風帯(ふうたい)」(焦げ茶色の細い裂(きれ)の部分です)に使われていた裂は、媒染剤※に含まれる鉄分のせいで劣化が激しく、この鉄分が作品にも影響を与えかねないため、取り替える必要がありました。※裂を染める際、染料を繊維に固着させるための物質。

作品は、現在解体修理中ですが、膠(にかわ)で絵具の剥落を止める「剥落止め」がされ、汚れが除かれて、布袋様たちも心なしかほっとした表情です。

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▲解体作業中です

thmnl_(3)「剥落止め」がされ、汚れが除かれました.jpg

▲「剥落止め」がされ、汚れが除かれました

修理後の表具は、なるべく修理前の雰囲気に近いものにすることが決まり、新調する「一文字」と「風帯」もふるいものに似せて染めてもらいました。リフレッシュした布袋様たちに、展示室でお会いいただけるまで、今しばらくお待ち下さい。

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▲修理後の表具裂合わせ。左下はふるい「一文字」

(M.Ma)