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 来年のあいちトリエンナーレ2010を盛り上げるために、もっと多くの方に現代美術作品に触れてもらい(残念ながら文字通り手で触れてはいけませんが)、関心を持ってもらおう、ということで、愛知県の本庁舎と県議会に作品設置を行いました。

 美術好きの方にはこれからトリエンナーレのプレイベントが目白押しで楽しんでいただけることだと思いますので、今回は「美術?なにそれおもしろいの?」くらいの、関心をあまりお持ちでない方に向けて、こんな面白いものがあるんですよ、という形でご紹介できるよう、あまり美術とは縁がない庁舎と議会という場所に設置することになったわけです。

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 本庁舎は西側の入口に岡本敦生+野田裕示の『地殻―潜むかたち1』という御影石の彫刻を、愛知県議会はロビーに先月芸文センターで大好評のうちに個展を終えた三沢厚彦の『Animal 2008-01』を。庁舎と議会、なかなか行く機会のない方も多いかと思いますが、一般の方でも特に手続きなどなく入れますので、お近くにお立ち寄りの際は是非ごらんください。

 美術館の外に作品を展示する、というのは保存的観点から色々と制約があるので、なんでも展示しようというわけにはいきませんが、今後も美術館の中に閉じこもらずにどんどん外に作品が飛び出していけると良いな、と思います。

 さて、それとは全く別の話題ですが、最近混乱するイランの情勢を刻々と生の声で伝えている、と注目されているTwitterというウェブサービスがあります。1記事140字制限で、いまなにしてるかなど気軽なつぶやきが魅力(イランの件はまったく気軽ではありませんが)のミニブログなんですが、実はアート関係のアカウントもたくさんあります。

瀬戸内国際芸術祭
http://twitter.com/setouchi_art_jp(日本語版), http://twitter.com/setouchi_art(英語版)
2010年7月19日-10月31日に開催される瀬戸内国際芸術祭2010の公式アカウント。応募中のプロジェクトの情報や、参加アーティストが今どこで個展をしているか、など。あいちトリエンナーレ2010は出遅れているカモ...。

アサヒ・アート・フェスティバル
http://twitter.com/AsahiArtFes
2009年6月20日-9月13日、もう始まっていますが、アサヒ・アート・フェスティバル2009の公式アカウントです。

ART LAB OVA
http://twitter.com/downtownart
桜木町を中心に、まちとの関わりを探るアートプロジェクトを行っている非営利団体。上に挙げたアサヒアートフェスの一つ、2009年8月22日-8月30日に開催される横浜下町パラダイスまつり2009の情報です。

淡路島アートセンター
http://twitter.com/aac_staff
NPO法人淡路島アートセンターのアカウント。上に挙げたアサヒアートフェスの一つ、淡路島アートフェスティバル2009淡路島アート不動産の情報です。

アートマネジメント動画 ヒトミテ
http://twitter.com/hitomite
地域のアートマネジメント事例をインタビュー形式で紹介する動画ブログのアカウントです。

TOKYO ART BEAT
http://twitter.com/TokyoArtBeat_JP
東京近郊の方にはいまや定番となっている感のある展覧会情報サイトTokyo Art Beatのアカウントです。シンポジウムやトークイベントの情報もフォローされていて便利ですね。

混浴温泉世界
http://twitter.com/konyokun
もう終わってしまいましたが大分別府で開催されていた別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界のなかで生まれたコンヨクン、だそうです。

101TOKYO Contemporary Art Fair
http://twitter.com/101TOKYO
4月にアキバ・スクエアで行われたアートフェアです。

 もうすぐ始まる越後妻有の大地の芸術祭はTwitterを利用してないみたいですね、残念(見つけられなかっただけかも知れません)。日本のギャラリーのアカウントも発見できず。たぶんやってるところはあると思うのですが...。海外のアカウントもたくさんあります。

Museum of Modern Art
http://twitter.com/MuseumModernArt
いわずと知れたMoMAですね。

brooklynmuseum
http://twitter.com/brooklynmuseum
ブルックリン美術館です。

Whitney Museum
http://twitter.com/whitneymuseum
ホイットニー美術館です。

SFMOMA
http://twitter.com/SFMOMA
サンフランシスコ近代美術館です。

LACMA
http://twitter.com/LACMA
ロサンゼルス・カウンティ美術館です。

Tate
http://twitter.com/Tate
イギリスのテート・ギャラリーのアカウントです。

 展覧会の会期やイベントの詳細など正確さが要求される情報はウェブサイトで、ゆるいコミュニケーションや直接は事業と関係しないけど関心が共有できそうな情報などをTwitterなどを利用してぽつぽつと行っていくというかたちで、広報のあり方が変化してきていますね。ただ日本の美術館で公式にTwitterアカウントを持っているところは、私の知っているかぎりではありません。MoMAやブルックリンがどのような内部的な処理を経てやっているのか分かりませんが、公的機関の場合とくに、あくまで公式な情報発信である以上投稿内容に対する責任の所在など色々クリアしなきゃいけない問題があります。

 実は愛知県美アカウント(http://twitter.com/apmoa)もあるにはあるのですが、昨年の夏にアーティスト、ジミー・キンリーによるストリート・パフォーマンスの実況をしたくらいでその後全く更新していません。何らかの形で活用したいです。

 いずれにせよ上に挙げたように様々な団体が実際に情報発信としてTwitterを利用しており、相互にコミュニケートしているという状況はすでにできあがってきています。皆さんも関心のあるアカウントを是非フォローしてみてください。

 ちなみにアーティストもどんどんTwitterに参加していますが、まとめが追いつきませんのでまた次の機会に。
(KS)
 

 今月12日に始まったアーツ&クラフツ展、連日盛況です! モリスの別荘「ケルムスコット・マナー」や民芸運動のサロン「三国荘」の再現展示を含む約280点の出品作は当然見ものながら、本展にはもう一つのお楽しみがあります。それは、お・買・い・物!

 

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▲アーツ&クラフツ展特設ショップの一角(美術館ロビー)

 

 今回のアーツ&クラフツ展では、展覧会関連グッズを取り揃えた大きなショップが美術館のロビーに特設されています。素敵なグッズがいっぱいで、どれも欲しくなってしまいます。その中でも特に個人的にお気に入りのものを、いくつかご紹介したいと思います。

 

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▲いちご泥棒ジャム(840円)

 

 今回の展覧会に出品されているウィリアム・モリスの重要作《いちご泥棒》(内装用ファブリック)に引っ掛けて、いちごを原料とした特製ジャムです。老舗の某果物屋さんの協力を得て、添加物はいっさいなしで、福岡産いちご「あまおう」に北海道産ビートグラニュー糖と和歌山産レモンの果汁だけを加えて作られているそうです。
 ショップのスタッフさんのお話では、バニラ・アイスクリームに掛けて食べるとすごく美味しいとのこと。それを聞いて居ても立ってもいられなくなった私は、その場でプレゼント用に1つ(誰にあげるんだ?!)、自分用に1つ買いました。さっそく試してみましたが、このジャムは市販の一般的なものと違って増粘剤が使われていないので、やわらかくてアイスによく絡み、まさしく絶品でした!

 

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▲壁紙ポスター(1,260円 or 1,575円)

 

 モリスのデザインが使われたイギリス製の壁紙が、この展覧会のために特別に100×52 cmに裁断されて、ポスターとして販売されています。壁紙のままだと、買って帰っても、壁に張ってくれる職人さんを呼ばないと普通の人は使えませんが、この壁紙ポスターなら自分で手軽に張れて楽しめます。しかも、モリスのデザイン! 全部で13種類もあるので、きっとお気に召すものが見つかるはずです。

 

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▲民芸の陶器(600円から48,000円まで)

 民芸の陶器もあります! 島根の湯町窯(ゆまち・かま)と出西窯(しゅっさい・がま)、熊本の小代焼(しょうだい・やき)の3種類が揃えられています。これらの器で食べる料理は、いつもと違った趣きを味わわせてくれることでしょう。

 

 特設ショップは展覧会入場券がなくても無料で入れますので、ショップにお買い物にだけ来て頂いてももちろん歓迎です。でも、展覧会もどうぞお見逃しなく! ショップで販売されているグッズの元となった作品現物が、そのすぐ横の展示室内に並んでいるのですから。豪勢な展示を見てから、素敵なグッズを記念に買って帰る。きっと贅沢な一日が過ごせますよ! 

(T.O.)
 

いよいよ始まりました!!アーツ&クラフツ展。
なんと280点もの作品が展示されています。
これらの作品を展示するための作業は、5月29日から6月10日まで10日間もかかりました。たとえば絵画の展覧会であれば5、6日間の作業で十分なところを、その2倍の時間と労力をかけて行いました。多くのスタッフの涙ぐましい作業を、一部ご紹介!

まずは会場内のディスプレイです。
10トントラック5台分の資材が運び込まれました。
この資材を大工さんが組み立て、経師屋さんが壁紙をきれいにはってくれます。

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↑数人の大工さんがなにやら大きなものを組み立てている様子

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↑組立完了 でも壁はボロボロ

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↑そこで経師屋さんの登場です

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↑室内空間が完成!

個人的には、この職人さんたちの作業を見ているのがとても好きです。
手わざが光る仕事は、なんだかアーツ&クラフツ運動の主旨にもあってるなぁと、感心しながら作業を見守りました。
 

会場内のディスプレイが完成したところで、またまたトラック5台が美術館に到着。
作品が入った木箱が次々と会場に運び込まれました。
この時、展覧会に作品を120点も出品されたイギリスのヴィクトリア&アルバート美術館から、作品に付き添うクーリエとして3人の方がいらっしゃいました。とてもフレンドリーな方々で、この日から展示作業最終日まで楽しく一緒に展示作業をすることができました。

作品は家具、タペストリーなどの布製品、食器、本など実に様々。
展示前には念入りに作品の状態をチェックし、破損していないか、また壊れやすいところはないかを確認します。

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↑イスの状態をチェックするクーリエ(チャーリーさん)と修復家の方

タペストリー開く.jpg

↑横にながいタペストリーをゆっくりと開いていきます (手前右クーリエのスザンナさん)

 状態チェックが終わると、作品を展示するのですが、これがなかなか難しい!
普通は同じ壁や空間に展示する作品を全て並べて、全体のバランスを見ながら作品の配置を決めます。しかし今回はそんなことをしていては時間がいくらあっても足りない!なんてったって、280点の作品をサクサクと展示していかなければならないのです。というわけで、まだ状態チェックの終わっていない作品は、同じサイズの型紙を作り、それを壁に貼って実物があると想像しながら、作品の位置を決めていきました。時には、想像通りにいかないこともあり、また想像以上に絶妙なバランスを生み出すこともあったり…

家具の配置.jpg

↑家具は倒れないように気をつけて、そっと!

作品配置.jpg

↑屏風は倒れないように、壁に固定 (作業を見守るグレッグさんは、日本美術の専門家。日本語もぺらぺらです)

 様々な試練を乗り越え、配置が大体決まると、作業の終わりが見えてきます。後は作品のキャプションや解説パネルの配置をしたり、照明をしたり。
最後のほうは体力的にも限界でヘロヘロでしたが、周りのスタッフの皆さんが元気に盛り立ててくださり、何とか開会式前日に作業を終えることができました!

 というわけで、作業自体はとても大変でしたが、ヴィクトリア&アルバート美術館のクーリエの方、修復家の方、共催の新聞社の方、展覧会監修者の方、そしてディスプレイや展示作業をしてくださった方、また修復の勉強をしている研修生の方など、みんなの力がひとつになって、この展覧会ができあがりました。ひとつのことに向かってみんなが団結していく感じ、そしてできあがった後の達成感を実感できることこそ、学芸員という仕事の醍醐味です!

 展覧会は始まったばかり!ぜひとも会場へ足をお運びいただき、この展覧会を楽しんでくださいますよう、スタッフ一同心より願っています!

(MM)
 

華やかな美術館の表側と異なり、裏方にはちょっと変わった世界があります。学芸員(curator)はこの表と裏の両方を行き来する研究者ですが、この美術館には、ほとんどこの裏方ばかりにいる保存担当学芸員(conservation staff)という職種のメンバーもいます。この裏方より、このあまり知られていない裏方の世界を紹介させて頂こうと思います。
美術館の裏方は防犯上お見せできない部分もあり、この裏方通信シリーズには意図的にぼけさせた写真を使わざるえない場合も出てくると思います。そこらへんはどうかお許し下さい。

 

現在、この主に保存業務を中心に頑張っているメンバーは3人います。今日はアートドキュメンテェーションという、これまた裏方チームのアシスタントさん1名にも手伝ってもらい、4人で屋外彫刻の洗浄です。この立体作品がセンターのどこにあるか、ご存知ですか?

まず床面に堆積した泥を集めます。かなりこびりつきが激しいのでデッキブラシでこそげ落とします。thmnl_大地洗浄 1.jpg

 

いよいよ作品にかかりました。まず十分に水で流します。次の段階では洗剤を使って表面を洗うのですが、この時、泥が残っているとかえってその泥が表面を傷つけてしまうので、最初の水洗いは丹念に行います。ここらへんは車の洗浄と同じですよね。

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次に中性洗剤で洗います。表面のコーティングがかなり弱っているので、優しく、赤ちゃんの体を洗うように・・・、「こする」というより「なぜる」という感覚で、洗ってゆきます。

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そしてまた水で洗剤を流し、流した洗浄液を排水溝に集めながら、床面も磨いて終わりです。この作品は大きいので丸一日の仕事となりました。

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翌日には全員(?)ふくらはぎに激しい筋肉痛が起こりました(注:若干1名の筋肉痛は1日遅れましたあ!!)。ツルツルの曲面から滑り落ちないように、かなり筋肉を緊張させていたのですね。
(N.N.)
 

 現在、着々と次回展覧会の準備が進んでいます。その展覧会「生活と芸術?アーツ&クラフツ展」にあわせて、10階レストランのウルフギャングパックのご協力のもとスペシャルランチを作っていただきました。

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今回は、アーツ&クラフツ展にあわせたランチなのでイギリスを意識したメニューになっています。サンドウィッチは、イギリス発祥と言われていますし(パンは山形のイギリスパン)、フィッシュ&チップスもイギリスを代表する料理のひとつです。

▲サンドの中身は、ハム&チーズとスモークサーモン&オニオン(現在中身は検討中だそうです)

 メインがサンドウィッチなので軽食的なイメージがありますが、ボリュームがあり食べ応え充分です。もし、食べ切れなかった場合には、お持ち帰りもできるそうです。

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▲セットでついてくるデザートは、一口サイズのケーキにアイスッ

 

予定されているお値段は、1800円。ワイエスランチの時と同様に展覧会チケット提示をすれば500円引きの1300円になります!展覧会を楽しんだ後に、ぜひスペシャルなランチも堪能してみてください。

また、ランチのほかに、アフタヌーンティー的なデザートメニューの提案をしました。小さめのケーキ(数種類)にスコーンがついたワンプレートタイプのものに、紅茶をセットでいかがでしょう。紅茶は、4種類の中からお選びいただけます。作品をみて、少々疲れたところで甘いものを食べながら、見てきた作品を思い出す。素敵な午後のひとときになりそうですよ。

(RK)