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裏方通信 収蔵庫の空気の話

2009年08月24日

展示室もそうですが収蔵庫の空気は厳密に管理されています。

みなさんは展示室でこういうものをご覧になったことはありませんか?

thmnl_温湿度1.jpg

この中には「自記温湿度記録計」という温度と湿度の変化を1週間分記録する計測器が入っています。

thmnl_温湿度2.jpg

もちろん空気調和設備(家庭でのエアコンに該当する機械。以下、空調と略す)に直結した電気的なセンサーはあるのですが、展示室も収蔵庫も、その電気的なセンサーとこの記録計と、常に2本立てて温度湿度はモニターされています。

空気成分や塵埃も管理対象です。空調機の中のフィルターは3層有り、カビの胞子レベルも有害なガスもここで除去されます。

これはプレフィルターといって空調機の一番手前に入っている、おおまかな塵埃除去目的のフィルターです。thmnl_塵埃1.jpg

左の真新しいものと比べるとかなりの違いがわかりますね。空中浮遊塵の数は収蔵庫の場合、人が作業を始める前、空気がかき乱される前は病院の手術室と同じレベルの清浄度です。ちなみに私は花粉症ですが、収蔵庫での作業が続く日は、帰る頃には花粉の季節だという事を忘れるぐらいになっています。外に出て、くしゃみをして始めて思い出す・・・といった具合です。

もちろん掃除もしますが、できるだけ埃を作らない様に、また持ち込まない様にするための工夫もします。

これはまるでエレファントマンのようですが、カバーのかかった彫刻です。thmnl_塵埃2.jpg

こういった長期保存のためのカバーには絹が使われます。絹は木綿などと違って長繊維なので埃が出にくいのです。だから収蔵庫内では強度を必要としないものに関しては絹が積極的に使われています。

また入り口には足拭き用の粘着シートが敷かれ、スリッパや台車の車輪についた埃を取る様なしくみになっています。

これは汚れて来たので一番上を、半分めくった所です。

thmnl_塵埃3.jpg

真新しい時は結構粘着が強く、うっかりすると転びそうになるくらいです。これを「人間ごきぶりホイホイ」と命名した学芸員がいます。

余談ですが、先程、絹は長繊維なので・・・と書きました。ご存知のとおり絹はお蚕さんの繭なのですが、お蚕さんは繭の作り始めから終わりまで、休むことなく・・・つまり繊維を切らすことなく吐き続けます。なんとまゆ1粒は1500mの長さの1本の繊維でできていると言われているのです。木綿がわが国に普及したのは江戸時代以降です。羊毛が普及したのはもっと新しいことです。昔は絹かこれまた長繊維の麻しかありません。昔の人の暮らしにはほとんど「綿ホコリ」というものがなかったものと推定されています。

 (N.N.)