2009年09月123456789101112131415161718192021222324252627282930

 10月10日から、いよいよ長者町地区であいちトリエンナーレ2010に向けたプレイベント「長者町プロジェクト2009」が始まります。長者町は、名古屋駅と栄のちょうど真ん中に位置する全国でも有数の繊維問屋街でしたが、繊維不況で空き店舗が次第に増えました。しかし、街の人たちのなかで、長者町を再生しようという気運が高まり、最近ではカフェやギャラリー、レストランなどを誘致して次第に新しい装いを見せ始めました。そんな長者町で、9組のアーティストがさまざまな作品を展開する、という展覧会です。 

Tyojamachi001.jpg

▲インフォメーションセンターと展示スペースへと改装されつつある「長者町繊維卸会館」。築約60年!雰囲気あるでしょ? 

Tyojamachi002.jpg

▲昼間はこんなかんじ。 

Tyojamachi003.jpg

▲ 二階のはこんなふうに。懐かしさを覚える雰囲気です。

  イベントも盛りだくさんで、10月9日には石田達郎とジム・オヴェルメンによるパフォーマンス、12日には山本高之+出口尚宏による「みがきッコ」パフォーマンス、10日から15日まで淺井裕介の公開制作などなど、まだまだいろいろあるので、詳しくは公式ウェブサイト(http://aichitriennale.jp/chojamachi/)をチェックしてみてください!


より大きな地図で 無題 を表示

▲長者町繊維卸会館の場所はココ。地下鉄丸の内駅からも伏見駅からも徒歩圏内です。

 また東海ケーブルチャンネルさんで放送中の、「あいちトリエンナーレTV」でも長者町情報が特集されています。動画はこちらから→(http://www.doga.pref.aichi.jp/ch5/index.html)。

(KS)

愛知県美術館…皆さんはどんな印象をお持ちですか?
企画展に足を運ばれることが多い方は、古美術から現代美術まで、時代も地域も幅広く多様な展覧会をお楽しみいただいていると思います。
でもやっぱり、美術館の顔はコレクション!このブログでも、作品の保存や管理から展示の仕方など、学芸員が日ごろより良いコレクション形成のために努力を重ねているところをご紹介しています。
そして、その努力がいくつかの実を結ぶことがあります。その一例として、個人で所蔵されている作品を、美術館に預けていただくこと(寄託)があげられます。美術館の作品管理や活動を評価してくださっているからこそ、所蔵家の方は安心して作品を美術館に預けてくださるのだと思います。私たちはその信頼に答えられるよう、また日々精進していかなければなりません。
さて、寄託された作品は美術館の管理の下で展示され、たくさんの方にご覧いただくことができます。現在所蔵作品展の展示室7では、当館のコレクションにはないモネやシャガールなど、日本で特に人気のあるフランス近代画家の寄託作品が展示されています。当館のコレクションの特徴は、クリムト、キルヒナー、ノルデ、クプカなど、日本ではあまり見られない作家の作品にあります。もちろん20世紀の巨匠ピカソやマティスの作品もありますが、近代美術の展開をたどるならやはり印象派やその周辺もほしいところです。しかしこうしたモダンマスターの作品の入手は困難を極めるため、今回展示されているような寄託作品が、もとあるコレクションの幅を広げてくれるわけです。

thmnl_DSC00872.jpg

↑クロード・モネ 《セーヌ河の湾曲部 ラヴァクール、冬》 1879年
この作品は、かつて松方コレクションに入っていたもの。1878年からセーヌ川沿いの町ヴェトゥイユに移住したモネは、セーヌ川を挟んだ反対側にみえるラヴァクールの町の眺めを描きました。この作品が描かれた1897年の冬は厳しい寒さのためセーヌ川の水が凍ったそうです。作品に描かれたラヴァクールの景色も寒々しい感じがします。


thmnl_DSC00874.jpg

↑マルク・シャガール 《オペラ座》 1953年 
赤く染まったパリのオペラ座と、そこから延びる黄色い花を咲かせた木(幹に見える部分は数人の人物の身体が折り重なるように描かれています)、そして手前には白いコスチュームに身を包んだダンサーが描かれています。この作品を描いた10年後に、シャガールはオペラ座の天井装飾の制作を行いました。

これらの作品が展示されている展示室は、企画展の展示室に比べ空間が小さいので、作品との距離がぐっと近くに感じられます。その分、作品に親しみを持つことができる展示空間で、ゆっくりと作品をご堪能ください!
 

(M.M.)

先日、放課後のはらっぱ展で二つのイベントが開催されました。出品作家が講師となり、参加者のみなさん、スタッフのみなさんと、はらっぱで思いっきりあそびました。

一つ目は、9月12日に開催された櫃田珠実さんによる「はらっぱのつまみぐい」。作品を見て感じたことをつまみぐいしてオリジナルの缶バッチを作ろうというものです。
珠実さんから簡単なレクチャーを受け、その後色鉛筆とバッチ用に丸く切った紙を持って展示室へ。みなさん、気になる作品や好きな作品を前にして、つまみぐいの開始です。thmnl_ha02.jpgthmnl_ha01.jpg

展示室でのつまみぐいに満足したら、作業スペースに戻り、水性ペンやクレヨンなどを使って、さらに描き足したり、新たに描いたりもしました。これぞっと思うものを二つ選んで、バッチにしていきます。
thmnl_ha03.jpg

たくさんの素敵缶バッチができあがりました。
thmnl_ha05.jpg

 

おまけ
缶バッチの制作見本として、珠実さんが用意してくれた、はらっぱ展出品作家のみなさんによるバッチです。どれが、どの作家さんによるものか分かるでしょうか。
thmnl_ha07.jpg

 

二つ目は、9月20日に行った佐藤克久さんによる「放課後のはらっぱの放課後」。ガムテープを使って、はらっぱにいそうないきものを作りました。参加者数は約40名!! たくさんの方々に参加いただきました。


まずは、佐藤さんと一緒に展示室へ行って、作品を見ながら紹介をしてもらいます。
thmnl_ppa01.jpg


作業スペースに戻ったところで、佐藤さんから手順を教わり、さっそくガムテープを使った彫刻作りのスタート!!
thmnl_ppa02.jpg

 佐藤さんやスタッフにアドバイスをもらいながら、思い思いに制作をしています。

thmnl_ppa05.jpgthmnl_ppa06.jpg

約1時間くらいかけて、それぞれはらっぱの仲間たちができあがりました。出来上がった仲間を、はらっぱに見立てた展示台の上へ。

 

thmnl_ppa07.jpgthmnl_ppa08.jpg

みんなすごいですっ!!
昆虫から動物から恐竜からなにか分からないものまで、すばらしい作品が並びました。 

おまけ2

出品作品の《フューチャー・ラウンジ》の中には、ガムテープで制作されたものが1つあるそうです。探してみてください。

はらっぱ展のイベントは、これだけではありません。10月18日(日)には名古屋市美術館で、【はらっぱ一日カフェ】名古屋市美術館の中にあるカフェ・ステラに出品作家の加藤美佳さん・安藤正子さんのレシピをもとに作った、特別メニューが登場!! また、櫃田珠実さんによる【はらっぱフォトバッチ、バッチグー】や設楽知昭さんによる【幻灯会】が開催されます。ぜひっご参加ください。詳しい内容はこちらから

(RK)

裏方通信 修復室の話

2009年09月17日

  美術館の中には、学校でいう保健室のようなところがあります。それが修復室という所です。作品も物質によって出来ている以上、劣化は免れません。文化財とはいえ、時に対して免罪符を持っている訳ではないからです。病気もすれば怪我もする、人間と同じです。
thmnl_修復家.jpg 

↑これは外部の修復家にお越し頂き、館内で所蔵作品の保存処理をお願いした時の写真です。

人間でいうところの往診ですね。修復室はこのような作業を想定して外光が入る様に設計されています。この時は画面の張りの調整と洗浄、剥落留をお願いしました。

 また修復室は強い溶剤を使ったり、カビの生えたものの乾式クリーニングを行う事を想定して、大きなフーバー(吸い込み装置、換気フードのようなもの)がついています。

thmnl_フーバー1.jpg

thmnl_フーバ−2.jpg

 時々誤解されることですが、愛知県美術館の保存担当学芸員は修復家ではありません。修復家がお医者様だとすると、保存担当は学校の養護の先生のようなものです。作品が傷む・・・、劣化するといっても、突然、本格的な修復をしなければどうにもならないというような状態に、一足飛びになるということは非常にまれです(まったくないわけではありませんが)。人間と同じく少しずつ老いてゆくのが普通ですし、日頃はそれができるだけ緩やかになるよう、むしろ作品環境の方を厳しく管理しています。作品は常に観察がされ、具合が悪い所は早め早めの処置を心がけています。
 作品を保存してゆくのに一番大事な事は修復に先立つ予防です。だから近現代美術が多い愛知県美術館の保存担当は、修復作業は外部の専門家にお任せし、予防のための活動の方を中心に行っているのです。

(N.N.)

 さて、いよいよスタートした「放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち」展。櫃田伸也さんと、彼の教え子19名が集う展覧会です。普通は作品の選択から展示まで学芸員が担当するのですが、今回は、櫃田伸也さんの教え子である、奈良美智さん、杉戸洋さん、森北伸さんがこの展覧会のために一生懸命協力してくださいました。

thmnl_Harappa1.jpg
↑打合せ中の杉戸さん、森北さん。打合せはいつも深夜にまで及ぶのでした・・・。

そのかいあって、展示室は、いつもの美術館と大きく違う「はらっぱ」風になっています。伸び伸びと自由な空間です。どんな感じかここでご紹介したい!のですが、それは見にきてからのお楽しみ、ということで、ごく一部だけ写真で・・・。

thmnl_Harappa2.jpg
↑具象絵画の芥川賞とも呼ばれる安井賞受賞作《風景断片》をはじめ、画家・櫃田伸也を代表する名作が出展されているのは当然のこと。こんなノートの切れ端やドローイングの断片も並んでいます。創作するうえで、これらは欠かせないものなのです。

thmnl_Harappa3.jpg
↑櫃田さんのアトリエの雰囲気を再現したコーナー。幅広い蔵書や雑貨にまじって、某ロックスターのグッズが妙に多い!


↑各作家さんの学生時代の作品を展示するコーナー。あの人や、あの人の裸婦デッサンや大学修了制作の作品が見れちゃいます。この展覧会でしか見られないレアなものです。

これらの写真からも、教え子だった作家さんがいたからこそ実現した展覧会であることが、お分かりいただけるのではないでしょうか。作品だけではなく、作品を生み出した温かな雰囲気まで伝わる「放課後のはらっぱ」展、ぜひともご覧くださいね。

thmnl_Harappa5.jpg
↑オープニングでは、サプライズケーキが登場。お料理上手な加藤美佳さん、安藤正子さんのお二人がデコレーションを担当されました。お二人のオリジナルレシピを自分もぜひ味わいたい、という方は、10月18日に行われるはらっぱ一日カフェ(名古屋市美術館)に来てくださいね。

(F.N)
 

濱田樹里展

2009年09月05日

「放課後のはらっぱ」と同時に始まった所蔵作品展内の一部屋(展示室6)で、「濱田樹里展“根源の在処(ありか)”」を開催しています。これは注目作家をご紹介する「テーマ展」と、あいちトリエンナーレ2010に向けた「現代美術の発見」シリーズ3(1は三沢厚彦さん、2は平田あすかさん)という位置づけとを兼ねたものです。
濱田樹里(はまだ・じゅり)さんは1973年生まれで2000年に愛知県立芸術大学大学院の日本画専攻を修了、現在名古屋造形大学で専任講師をされています。

thmnl_濱田焔1 001.jpg

↑《焔にたつ華》2005年


thmnl_濱田二作間 002.jpg

濱田さんの作品は長大です。展示室内の2点はどちらも縦2mで、横は約17mと約11m。それぞれ壁2面にまたがっています。

thmnl_濱田流転生 004.jpg

↑(《流・転・生》2009年)
マグマのような赤や、鳥の羽のような白がうねる画面に、巨大な花々が咲き・しおれ・再び芽吹くさまが描かれています。赤色には、濱田さんが小学校高学年まで育ったインドネシアの赤土の大地がオーバーラップされているとのこと。花は大地を覆う生命体の象徴で、長い時の流れの中で生死を繰り返す命の根源がテーマとなっています。

thmnl_濱田アップ 005.jpg
↑作品部分

愛知県立旭丘高校の美術科在学中から日本画の画材を用いているのも、土や砂の触感に近いという理由から。絵に近づいて見ると、ざらざらとした岩絵具のほか、貝殻を砕いて作る胡粉(ごふん)、金・銀・赤・青の金属箔などの材質感も豊かです。

大作ではありますが、洋画家のように大キャンヴァスにグイグイ描くというのではなく、幅70?のパネルを床に寝かせての制作。アトリエでは作品の全貌は見えません。細かな作業で蓄積されたエネルギーが、展示会場で爆発するのかも。

thmnl_濱田含前室 003.jpg

↑展示室6とその前通路の作品展示風景

展示室外、通路の壁には幅約4.5mの《陸の花》(2003年)。これら3点が鑑賞者を取り囲みます。
 「これは写真じゃわからないなあ」と思った貴方、そのとおりです。会場へおいでになり、大作の流れに身をまかせてみてください。
 

(T.M.)