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画家としての藤井達吉展@碧南市藤井達吉現代美術館

2009年12月13日

FTatsukichiPortrait.jpg 藤井達吉(1881?1964)という美術工芸家をご存じの方も少なくないと思いますが、念のため、まず簡単にご紹介します。彼は、明治14年に、現在の愛知県碧南市に生まれました。その制作活動は、日本画を中心とした絵画から、七宝、染色、漆工などの工芸分野まで実に幅広いものです。また、活動した時期も明治末から昭和までと長期に渡っていて、彼の芸術家としての全体像を把握することを難しくしています。(左図:藤井達吉肖像、大正6年)

 彼は、明治の終わりから大正時代にかけて「フュウザン会」や「无型」といったなどの前衛的なグループに参加し、美術の新しい可能性を切り開こうとしていた気鋭の画家・彫刻家・工芸家たちと親しく交わりました。この時期、彼は、絵画の制作はもちろん、工芸の分野でもその近代化を掲げて個性的な作品を世に問うていきました。しかし、当時の工芸界はまだそのような個性的な制作への関心は薄かったようで、彼の制作と主張への賛同は思ったようには広がっていきませんでした。

 彼は、やがてそのような活動から離れていき、昭和期の後半生には、郷里での後進の指導に重きを置くようになっていきました。瀬戸で若い陶芸家を指導し、また小原(豊田市)の和紙工芸を芸術的な創作活動へと導いたのが、他ならぬ藤井達吉だったのです。この時期になると彼の制作は文人的な性格が強まり、平安時代の継紙の技法を現代に蘇らせた「継色紙(つぎしきし)」の作品や、水墨による作品を数多く遺しました。

 今、その藤井達吉の画家としての活動に焦点をあてた展覧会が、碧南市藤井達吉現代美術館で開催されています。これはなかなか見応えのある展覧会で、彼の制作の初期から晩年までの絵画制作が一望できるものです。愛知県美術館では、昭和30年に愛知県文化会館美術館として開館したときに、藤井本人から1,460点余りの作品や資料を寄贈していただいており、今回の展覧会にも10点を超える作品を出品しています。この展覧会には、そういった美術館所蔵の作品だけでなく、私自身、今回初めて見る個人蔵の作品も数多く出品されていて、さすが藤井研究の拠点美術館だけのことはあるという充実した内容です。藤井達吉ファンはもちろん、これまで彼のことをあまり知らなかった方にも必見の展覧会です。

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 美術館の近くには、文化財を所蔵するお寺など古い建物も多くある町並みや、地元の新鮮な魚介類を販売する魚屋さんなどもあり、散策気分で美術館界隈を楽しむこともできるお勧めスポットです。また、少し足を伸ばせば、農産物の直売の「あおいパーク」や、こちらは魚介類専門の「一色さかな広場」などもあり、見ることはもちろん、食べることでも楽しみ満載です。展覧会は1月11日(月、祝)まで、是非一度お出かけください。

 (MUM)

画家としての藤井達吉
2009年11月3日(火・祝)-2010年1月11日(月・祝)
観覧時間:10:00-18:00
休館日:月曜日(ただし11月23日(月)・1月4日(月)は開館し11月24日(火))は休館)
年末年始は12月28日-1月1日休館。年始は1月2日より開館。
展覧会ウェブサイト:http://www.city.hekinan.aichi.jp/tatsukichimuseum/temporary/gakafujii.html