作品を収納している裏のエリアの掃除には、いくつか注意点があります。
作品が置いてある訳ですから、作品にぶつからない様にすることは、まずその筆頭と言えるでしょう。収蔵庫や撮影室、修復室などでは、一般家庭のものとは異なる、クリーンルーム用の特別の掃除機を使用しています。
↑クリーンルーム用掃除機
空調機と同様、カビの胞子程度の物も除去する特殊なフィルターがついているタイプです。
これを扱う時には二人一組が原則です。一人は通常通りに掃除に集中すればいいのですが、もう一人はコードや掃除機の本体が作品にぶつからない様にコントロールを行います。これは二人の息が合わないとなかなか難しい作業です。
時には掃除機を持ち込むのが難しい場合もあります。例えば調査日程、撮影日程が詰んでいて、一方では調査、撮影を行い、その傍らで清掃を平行して行わなければならないような時です。その場合は、昔ながらの「茶殻とほうき」の現代版を行います。湿らせたシュレッターゴミをほうきで転がしながら掃除する方法です。

↑「茶殻とほうき」ならぬ「シュレッターの紙くずとほうき」
これなら音も埃も、両方、立てずに行えますね。大きな面積を掃除する日は、シュレッターゴミを要らなくなった黄袋に入れ、水につけてから洗濯機で軽く脱水をかけて準備します。
いずれにせよ床に落ちたゴミや塵を集めるだけなく、裏のエリアでは空気中の埃もできるだけ少なくする目的で清掃を行なわなければなりません。カビの胞子はだいたい3ミクロン内外だと言われています。塵埃の挙動を研究した人がいるのですが、3ミクロンの塵埃は、舞い上がるとすぐには落ちて来ず、数時間かけて沈降してきます。特にカビ処理が続いた部屋などを清掃した日は、一通りの掃除を終えた後も、翌日、誰も入らないうちに手前からそっとモップがけを行い、この沈降した埃を除去してゆきます。机の上など、前日に一度拭いた所でも、朝には結構ざらついているのがわかります。特にカビがひどい時などは、逆制石けんを使用する事もあります。
この塵埃の挙動とモップがけの関係は、ご家庭での掃除についても、少し念頭に置いておかれるといい情報だと思います。

↑カビ対策用
(N.N.)