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棚卸し

2010年05月31日

愛知県美術館では、毎年、作品のジャンルごとに「棚卸し」をしています。美術館で「棚卸し」?と思われるかもしれませんが、つまり在庫調査、作品が美術館内にきちんと保管されているかどうかを確認することなのです。愛知県美術館の所蔵作品約7000点ある中で、現在では洋画、日本画、彫刻、水彩・素描・版画などのジャンルに分けて行っています。
所蔵作品は、収蔵庫で大きく絵画、彫刻の部屋に分けて保管しています。棚卸しでは、収蔵庫内で作品所在を確認し、作品ごとの帳票に確認場所を記載していく作業を行います。作品は、通常、絵画用ラックや棚に五十音順に整理してあります。例えば、今年調査を行った水彩・素描・版画作品では、多くの作品を箱に入れて保管しています。それら作品を箱の中に収める際には、ウコン袋、通称黄袋“きぶくろ”というウコンで染められた黄色の袋に作品を入れています。防虫効果があることからウコンで染められているのです。また、水彩・素描・版画作品は点数が多いため、すべての作品を額に収めているわけではなく、マットを呼ばれる二枚重ねの厚紙、つまり紙の額縁のようなものに挟んで、引き出しに重ねてしまってある作品もあります。
 

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△黄袋に入れられた版画作品


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△引き出しの中 マットにはさみ重ねた版画作品


このように水彩・素描・版画の作品は、黄袋と箱、また引き出しの中と保管されているため、収蔵庫の中でも容易に目にすることはなく、棚卸しはこれら作品を実見する貴重な機会なのです。作品をチェックしていく過程で、この作品はこんなにきれいな色をしていたのかとか、意外と大きかったなど、これまで見過ごしていた作品の魅力に触れることとなり、作品を鑑賞するときとは異なる、作品を発掘したかのような心躍らされる瞬間を楽しむことができます。このように、棚卸しはあらためて作品に出会う機会となり、さらには皆様に展示でご紹介する作品候補を選定することにもつながります。作品すべてを確認する作業は大変ですが、細かく収納方法もチェックしながら棚卸しを行っているので、作品の保存上でも重要な作業なのです。
棚卸しは年に一度程度ですが、作品管理には日々の仕事の積み重ねも重要です。愛知県美術館の財産である作品を常日頃きちんと管理し、展示を通して皆様に新たな作品の魅力をご紹介していきたいと思っています。(m.f.)
 

6月4日(金)から、次回展覧会がオープンします。次の展示は、「田原市博物館の名品による 渡辺崋山展」と題し、江戸時代後期に活動した、渡辺崋山の絵画をご紹介するものです。 

田原市博物館を訪ねてもふだんはなかなか見ることのできない規模で、同館が収蔵する崋山絵画の名品をご覧になれます。

しかも、観覧料は愛知県美術館の所蔵作品展と同じ500円!高校・大学生は300円、中学生以下は無料です。

名古屋の中心部で崋山絵画を堪能できるまたとない機会です。会期は7月11日(日)までと短いので、ぜひお見逃しなく。(M.Ma)

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↑展示作業中の様子です。手前の大きい絵は、重要文化財の《孔子像》。

 

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↑入場すると、最初に崋山の肖像画に出会えます。これは弟子の椿 椿山が描いたもの。

「愛知県美術館のブログを読んでいるけど、愛知県美術館って遠いから行きづらい・・・。」と思っていらっしゃった田原市近郊の皆さん、今週末より田原市博物館でサテライト展示が始まります。

サテライト展示とは、愛知県美術館まで来るのが難しい地域の方々にも当館の所蔵作品をご覧いただくため、今年度より実験的に始まった企画です。第一弾である今回は、当館が多数所蔵している北川民次(1894-1989)の作品が田原へと運びこまれました。北川は、田原市博物館で個展開催中の杉浦正美(1926-)の先生の1人なのです。

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↑北川作品の中には、母子像を描いたものが多くあります。

 

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↑焼き物の町、瀬戸をモチーフにした版画のシリーズも並びます。

 

油絵、版画など多くの北川作品が展示されるのですが、見逃してはいけないのは《メキシコ三童女》(1937)でしょう。この作品、破損をさけるために愛知県美術館の外へ出ることはとても少ないのです。(非常に作品の表面がもろく、ちょっとした移動や湿度の変化で影響を受けてしまうデリケートな作品なのです・・・)。そのため、今回のサテライト展示は、愛知県美術館以外の場所でこの作品がご覧いただける貴重なチャンスとなっております。ぜひ、お立ち寄りください。

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↑久しぶりに愛知県美術館の外へ出た三童女さん。独特のぬめりのある表面をご覧ください。

(F.N)