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クリムトを巡る旅 その2 ウィーン美術史美術館

2010年09月22日

 クリムトが学んだのは、美術アカデミーではなく工芸美術学校でした。前者が画家や彫刻家といった芸術家を輩出する場所だとしたら、後者は一人前の職人を養成する学校です。そこを卒業したクリムトは、仲間と3人で芸術カンパニー(小さな工務店のようなもの)をつくり、建築装飾を請け負います。当時のウィーンは近代化の只中で、古い城壁を壊して環状道路(リンクシュトラーセ)を作り、その道路沿いには公共建築物などが次々と建てられていきました。その中でクリムトが関わったのは、ブルク劇場と美術史美術館の装飾でした。今回は美術史美術館を覗いてみましょう。

 

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↑美術史美術館正面

 

 正面から入り階段を上った2階の部分にその壁画があります。〈古代ギリシア美術〉や〈エジプト美術〉などを寓意的・擬人的に描いたものです。居並ぶ泰西名画を目当てにこの美術館を訪れる多くの来館者には、ほとんど気付かれることはありません。

 

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↑開口部のあるアーチによって生じたスパンドレル(三角小間)と呼ばれる壁面を中心に描かれています。

 

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↑〈初期イタリア美術〉:フィレンツェのクアトロチェント(アーチ左側)、聖告の天使(アーチ右側)、ダンテの胸像と少年(柱間)
*上の画像は実写、下は複写(以下同じ)

 

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↑〈エジプト美術〉:少女とホルスとトト(左柱の左)、ミイラ、彫像、壁画断片(柱間)
〈初期イタリア美術〉:フィレンツェのクアトロチェント(右柱の右)

 

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↑〈初期イタリア美術(ヴェネツィアのクアトロチェント)〉:総督の姿で(左柱の左)
〈古代ギリシア美術〉:タナグラの少女(柱間)、ゴルゴンを付けニケをもつアテナ(右柱の右)

 

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↑〈初期イタリア美術(ローマのクアトロチェント)〉:ティアラを持つ女性(アーチ左)

 

 この他にも〈初期イタリア美術(フィレンツェのクアトロチェント)、(フィレンツェのチンクチェント)〉の壁画もあります。特別に照明をしているわけでもなく、近寄って見ることもできない(フラッシュも届きません)ので、しっかりと見ようと思ったら双眼鏡を持参しましょう。
 (HF)