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あいちトリエンナーレ2010も盛況のうちにあと数日で終りです。さて、このトリエンナーレを盛り上げるために愛知県庁や県議会などに設置していた美術館の現代美術作品が、お役目を終えてひと足先に美術館に帰ってきます。今週始めには県図書館からふじい忠一の太い丸太をグニャっと曲げた作品が戻り、今日は知事公館から庄司達の白い布がふわりと浮いた作品を片付けました。


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↑知事公館に展示された庄司達の作品

 

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↑布が波のように浮かんでいます

 

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↑布は専用の箱に収納してペタンコに

 

この週末には県庁正面玄関に置かれた岡本敦生+野田裕示の御影石の彫刻を撤収します。これらの作品は、いずれまた所蔵作品展の中でご覧いただけることになるでしょう。次回の全館所蔵作品展「美の精髄 愛知県美術館の名品300」に出るかどうかは、見てのお楽しみです。
(HF)
 

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10月23日(土)から12月19日(日)まで、三重県立美術館で『ひろがるアート』展が開催されています。これは所蔵品をより魅力的に展示するために、愛知・岐阜・三重の三県立美術館が協力して行う三県立美術館協同企画の第5回目の展覧会になります。今回の副題は『現代美術入門編』といい、20世紀後半の美術に焦点を当てています。愛知県美術館からは17点の作品が出品されているのですが、ニーヴェルスンの《漂う天界》を始め、戸谷成雄の《双影体II》、千崎千恵夫の《無題》など大型の作品が多いので、点数以上に愛知の所蔵品の印象は大きいです。

 

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これは搬出前、お預けする三重県立美術館の学芸員さんと双方で点検を行い、作品の引継ぎをしているところです。

 

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大きなカンバス作品の梱包は、物理的にただ大きいというだけでない難しさがあります。たわませると、最悪の場合、画面が裂けてしまうことがあるくらい危険なことだからです。不均衡な力を与えないように・・・、ゆっくりと・・・・、みんなでタイミングをあわせて・・・・。

 

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今回は組み立てや展示が難しい作品も多かったので、展示作業には愛知の学芸員も応援に行きました。例えばこの西村陽平の《Iron Container for Mummified Magazines》などがそうです。この作品の場合は16個のパーツから成り立っており、瓶も組み立てた後に置く事になっています。こういうものは作家から直接聞いた設置方法の言葉が非常に大事です。作品とは別に、所蔵品の資料として美術館が大切に保管しています。複雑なものは作家が設置しているところをビデオ撮影して保管しているものもあります。

12月4日(土)2時からは、当館の学芸員も参加したギャラリートークが行われます。どうぞみなさんお出かけ下さい。

 (N.N.)

愛知県美術館が所蔵しているピカソの「青の時代」の作品《青い肩かけの女》(1902年)が、スイスのチューリヒに行っています!

 

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△ チューリヒの街並み
 

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△ チューリヒ美術館

 

先週15日にチューリヒ美術館で始まった「ピカソ――1932年の初美術館展」に貸し出しています。このピカソ展は、単なるピカソ展ではありません。1932年にピカソ自身が、それまでの自分の仕事の各段階を代表するような作品を選定し、それらがその年、チューリヒ美術館でまとまって展示されたのですが、それはピカソにとって、美術館という場での最初の個展となりました。その歴史的な展覧会を、チューリヒ美術館が開館100周年の機に再現しようとした注目の展覧会なのです。愛知県美術館所蔵の《青い肩かけの女》も1932年のピカソ展に含まれていたため、今回チューリヒ美術館から貸出依頼を受け、とても有意義な展覧会ということで、貸し出すことにしました。 

 

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△ 《青い肩かけの女》の展示作業


今回のピカソ展には、1932年に出品されていた約230点のうち、全部で76点が来ています。ちょうど1/3が集まった計算ですから、大したものだと思います。貸出館には、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、テート、パリ国立近代美術館など、世界の大美術館がいくつも名を連ねています。日本からは、当館のほかに川村記念美術館、大原美術館も、それぞれ1点貸し出しています。
 

 

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△ 《青い肩かけの女》の裏面に貼付されている1932年のピカソ展のラベル

 

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△ 新たに貼付された今回のピカソ展のラベル


今回の貸出しに際して作品の裏面をチェックしたところ、1932年のピカソ展のラベルがあることが確認できました。ピカソに限らず、展覧会に作品を貸し出すと、その展覧会とその作品の情報(展覧会名、会期、会場名、作者名、作品名、制作年 etc.)の入ったラベルを貸出先が用意していて、それを裏面に貼ることがあるのですが、こういったラベルを見ると、その作品が背負っている歴史が、生々しく、そして重々しく伝わってきます。今回の出品に際してもラベルを貼り付けました。今はまだ真新しいですが、これも何十年かすれば貫禄が出てくることでしょう。

 

 

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△ チューリヒ美術館 現在ピカソ展が開催されている棟


「ピカソ――1932年の初美術館展」は、チューリヒ美術館で来年1月30日まで開催されています。チューリヒに行かれる方はお見逃しなく!  (T.O.)


展覧会記事:
http://www.tagesanzeiger.ch/kultur/kunst/Beim-Aufhaengen-von-Meisterwerken-/story/25801764?dossier_id=737

 

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猛暑の中で始まったトリエンナーレも残すところあと半月。ラストに向けて、愛知芸術文化センター会場(8・10階美術館及び現代美術展企画コンペ展示室)と名古屋市美術館会場は、休館日なしとなります。日曜日が運動会で月曜がお休みになった方など、ぜひお誘い合わせおいでください。記念撮影をしていただける三沢厚彦さんの白クマたちも、皆様をお待ちしています。

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さて私たち美術館員はいま、トリエンナーレ終了後の作業日程や人員配置を練りつつ、今月23日から三重県立美術館で始まる愛知・岐阜・三重3県立美術館協同展「ひろがるアート」への作品輸送や、今月中に発行する年報の校正などを行っています。11月1日からはさっそくトリエンナーレの巨大な作品や仮設の壁・床の解体と撤収が始まり、26日からの「美の精髄」展の展示作業やブダペストからのクリムト引き取り出張などへと続きます。その間には、美術館が今年度収集(購入・受贈)したい作品を外部専門家に諮問する収集委員会もあり、また「カンディンスキーと青騎士」展をはじめとする来年以降の展覧会準備も進んでいます。
こうした活動はまたこのブログでレポートしていきますので、今後もご注目ください。           (TM)                                                   

 

蕪村の名作、修理中

2010年10月11日

 江戸時代の画家、与謝蕪村晩年の名作として名高い《富嶽列松図》は、愛知県美に寄贈された木村定三コレクションの中でも最も知られた作品の一つです。蕪村の代表作として、重要文化財に指定されています。この作品が、今年から修理されています。


 《富嶽列松図》は、掛軸としては珍しいほど横長の画面が特徴で、それが鑑賞上も重要なポイントとなっています。しかし、この作品の場合、掛軸として大きく重いことが表具の変形につながってしまい、画面にも影響があらわれ始めてしまいました。画面のあちこちが折れたり、また巻いたり広げたりすることで表面の墨がこすれて取れてきたりしています。


 この作品は、県美での展示予定や他館の展覧会への出品希望も多い、大人気の作品です。今後も皆さんに見ていただく機会をできるだけもつためには、このままの状態では作品への負担が大きすぎるという判断から、本格的な修理をすることになったのです。

 

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↑《富嶽列松図》(修理前)。今回の修理は、この形を基本的に保ちながら、保存上の問題を解決するやり方で行われます。

 

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↑修理の経過を一部ご紹介。掛軸を解体した後、絵を吸い取り紙にのせ、手早く水を通して画面をきれいにします。これは使用後の吸い取り紙ですが、これだけの汚れが取れました!

 

 修理には丸2年かかり、修理後も作品が落ち着くまで寝かせておく必要があります。愛知県美の名品を集めた「美の精髄」展にも、残念ながら出品することができません。しばらくの間見ていただくことができませんが、リフレッシュした《富嶽列松図》にお会いいただける日を楽しみにお待ち下さい!
(M.Ma)

 美術館では大量のダスターを使用します。これは友の会の中の「所蔵品管理サポート部会」を通じて寄付されたもので(サポート部会員を通じて寄付して下さっている方もおられる事を存じております。この場を借りてお礼を申し上げます)、本当にありがたいことです。

 

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 サポートのみなさんは、下着やTシャツなどの綿メリヤスの古くなったもの(この『古い』が重要なのです!!頂戴した物の中でも、よれよれで部分的に透けそうなぐらい薄くなり、ちょいと一、二カ所、風穴なんぞが空いた物など、特に貴重品扱いで使用させて頂いております!)を洗浄し(柔軟剤付きなどをお断りしているので・・・、手間ひま掛けさせて本当にすいません)、タグや縫い目など堅い所を取り外し、適当な大きさに切り分けて寄付して下っているのです。これで私たちは絵画や展示ケースのガラスを拭いたり、桐箱を拭いたり、様々な清浄化活動を行います。

 

 ↓これはある時、収蔵庫の棚を拭いた(乾拭き)後のダスターです。開館以来使用されていなかった棚を使用前に拭いた物ですが、こんな状態です。収蔵庫内の木部は基本水拭きができません。乾式で丹念にやってゆくしか方法しかないのですが、ふんだんにダスターが使用出来るおかげで、私たちは作業を進める事ができます。

 

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 他の学芸員から市販のウエットティッシュの類いの使用を検討して欲しいという声も有りましたが、調べてみると添加物の中には残留して作品に影響を及ぼす可能性があるものがあるので、今は保留しています。

 

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 ところでブロンズ像などを拭ったりする作業は、白手袋そのままを使用する事が多いです。なぜなら片手でなぜている間も、片手は作品を確保していなければならないので、結局「白手」そのもので拭いて行った方が安全な場合が多いからです。美術館で購入する「白手」は意図的に左右の区別の無いタイプ。汚れたら左右を替えて、裏表(手のひら側、甲側の意)使用します。汗をかきやすい学芸は、さらに中に薄いゴムの手袋をしてもらうようにしています。

(N.N.)

 

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▲愛知県美術館「カンディンスキーと青騎士」展 前売券 (見本)
【チケットの作品】 ヴァシリー・カンディンスキー《花嫁》 1903年
レンバッハハウス美術館
Städtische Galerie im Lenbachhaus und Kunstbau München

 

来年2月、愛知県美術館は 「レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士」展(2011年2月15日[火]-4月17日[日])を開催します。
その前売券が、10月1日より発売開始されました!

 

価格は一般1000円、高大生700円。
一般当日券が1,200円で、高大生当日券は900円ですから、前売り券だと200円お得に「カンディンスキーと青騎士」展をご覧頂くことができます!

 

「カンディンスキーと青騎士」展、展覧会カタログの作成など、着々と準備が進められています。このブログでも、11月にオープンする東京会場〈三菱一号館美術館〉の様子などをご紹介していきます。

 

前売券(および当日券)は主要プレイガイド、チケットぴあ(Pコード764-347)、ローソン(Lコード46338)、サークルK、サンクス、セブンイレブン、ファミリーマート、イープラスなどでお求めいただけます。(中日新聞販売店では、前売券のみお取り扱いしています。)

それからもちろん、愛知県美術館の10階チケット売り場でも販売しています。
トリエンナーレで芸術文化センター会場にお越しの方は、お帰りの際にどうぞお買い求めください!
〈前売券の販売期間は2011年2月14日まで。ご購入はお早めに!〉

 (SS)