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ポロック展見どころ紹介2 ポロックのアトリエ再現

2011年03月02日

 

  

 

愛知県美術館がこの秋開催する「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」(今年11月11日 - 来年1月22日)の見どころ、その2をご紹介します!

 

 

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▲ ニューヨーク州イースト・ハンプトンに現存するポロックのアトリエ(2006年撮影)。

 

 

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▲ 制作中のポロック、1950年
Photograph by Hans Namuth © Hans Namuth Ltd.

 


ポロックは1945年、長年住んだマンハッタンを離れ、車で3時間ほどのところにあるニューヨーク州の田舎町イースト・ハンプトンに引っ越しました。そして1947年から1950年にかけて、絵画芸術の新たな地平を切り開く一連の革新的な絵画を生み出したのですが、その時彼が制作していたアトリエが、イースト・ハンプトンには今も残っています。

 

 

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▲ ポロックのアトリエの床(2003年撮影)。キャンバスをはみ出してあちこちに飛び散った絵具が、ポロックの制作の様子を生々しく伝えています。

 

 

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▲ 《収斂》(1952年)の制作の跡でしょうか(2002年撮影)。《収斂》画像=
http://www.albrightknox.org/collection/collection-highlights/piece:pollock-convergence/

 

 

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▲ ポロックのものと思われる足跡も所々に(2005年撮影)。

 


「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」では、ポロックの作品約70点(うち絵画約40点)を世界中から集めて展示する予定で、目玉作品のうちの2つは2011年2月16日に当ブログ(「ポロック展見どころ紹介1 日本のポロック受容における記念碑的2作品」)ですでにご紹介したところですが、作品以外での目玉として、絵具の飛び散った床面まで複製したポロックのアトリエの原寸大モデルの展示も計画しています!

 

ポロックにあっては、結果として生み出された作品も革新的でしたが、それを生み出した制作方法もまた革新的でした。それまで画家はイーゼルに垂直に立て掛けたキャンバスに正対して描いていたのですが、ポロックはキャンバスをイーゼルから床に引きずり下ろし、床の上に水平に広げられたキャンバスに時には足を踏み入れながら、流動性の塗料を流し込み、撒き散らして描画しました。――その時の画家とキャンバスの実際の位置関係は? その時画家にとってキャンバスはどう見えていたのか? など、アトリエの原寸大モデルによって、ポロックの特殊な制作フィールドをお客様に体感していただくことができれば、きっとポロック芸術を理解する大きな助けになるのではないでしょうか。(床の複製については、お客様にそこに上がっていただけるようにしたいと思っています。)

 

このポロックのアトリエの原寸大再現計画、海外の美術館を出品交渉で回っている時にも、向こうのキュレーターたちに非常に注目されました。実は1998-99年にニューヨーク近代美術館(MoMA)でポロックの大回顧展が開催された時にも、ポロックのアトリエの再現は試みられていたのですが、それは断片的でまったく不完全なものでした。あるアメリカの美術館のチーフ・キュレーターなどは、「ウチの大切なポロックを貸すのだから、あなたが目玉の一つだと言うアトリエの再現、MoMAの時みたいな中途半端なことはしてくれるなよ」とおっしゃったものです。安全上、展示スペース上、予算上など、困難な制約がいくつかありますが、せっかくの機会ですから、私も中途半端なことはしたくありません。完全再現とまでは行かずとも、ポロックの制作のあり方を十分にお伝えできるものになるよう努力したいと思います。どうぞお楽しみに! 

(T.O.)