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「魔術/美術」展 本日前売券発売!

2012年03月01日

愛知県美術館では、現在「うつし、うつくし」展を開催中ですが、次の企画展の準備も着々と進んでいます。


4月から開催予定の「魔術/美術――幻視の技術と内なる異界」展の前売券が本日販売開始となりました。

前売ですと一般は700円、高校・大学生は400円でチケットをご購入いただけます。(それぞれ当日より200円お得です。)

販売は4月12日までとなりますので、お早めにお求めください。


前売券発売と同時にポスター・チラシも作成しました。

巷で「かわいい!」と話題の魔術展ポスター・チラシ、全部目にすることができたらラッキーかもしれません!

 

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↑ 「魔術/美術」展ポスターとチラシ。

 

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↑ チケットはこれまた雰囲気が違います。券種によって色が違うので、全部集めたくなる??

 

さてさて、宣伝ばかりでなく、ここでこの展覧会をきちんとご紹介したいと思います。

この企画は「愛知・岐阜・三重三県立美術館協同企画」の第6回目となります。

2004年に三重県立美術館で開かれた「20世紀美術にみる人間像」展から始まったこの協同企画は、地理的に近いこれら3つの県立美術館が協力し、互いの所蔵作品を活用しながらより魅力的な展示を考えるというもので、愛知県美術館の企画としては、2007年の「20世紀美術の森」展以来2回目となります。

一言でいいますと、担当学芸員にとっては、「ほら、他の2つの美術館の作品が自分の美術館の作品になったと思って、自由に所蔵作品展を企画してご覧なさい!」という課題を与えられたことになります。

担当学芸員2人が持ち寄った企画案の中にあったのが、「魔術」をキーワードにした展覧会。

他にも案があった中でこれが最終案となったのは、「魔術」というのがとても魅力的なことばである一方で、美術においてとても広がりを持ったテーマであるところにその理由があったと思います。


芸術家という概念の歴史は、人の創造行為の歴史に比べるとはるかに浅いものですが、その始まりは、さまざまな技術を駆使して人々に驚きを与え、現実と幻想の境界を揺るがしてきた人々にあったと言うことができます。

平面的な画面の上に奥行きを再現したり、「ない」はずのものを「ある」かのように見せる技術は、まさに魔法のように人々を魅了してきました。そして、それらの技術は、やがて美術という制度の中で継承されていきます。


一方、世界各地の信仰や宗教儀礼と密接に結びついた創造行為というものがあります。呪術の道具や、祭事に用いられる仮面といったものは、異界へアクセスし、超常的な存在と交流するための道具として大変重要なものです。それらは制度としての美術の外側で生き続けてきたために、その造形の魅力は、反対に「美術」に影響を与え、その権威を脅かしさえすることもあります。


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↑ 《ヨルバ・スタッフ》 愛知県美術館(木村定三コレクション)
  ナイジェリアで病気の治療を目的に行われる呪術の道具。


愛知県美術館の所蔵品の過半数を占める木村定三コレクションの中には、そうした民俗学的資料とも呼べるような造形物がたくさん含まれています。今回は、これらを美術品として生み出されたものと同じ空間で展示することにより、人間の創造行為を幅広い視点から見つめるきっかけとなるようにしたいと思っています。


さらに、近代以降の傾向として、科学技術の急速な進歩に抵抗するかのように、多くの芸術家が不可視の世界を積極的に表現してきました。とりわけ19世紀末のヨーロッパでは、幻想的世界を表現した版画作品が数多く制作されました。


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↑ オディロン・ルドン〈夢のなかで〉より《VIII. 幻視》 1879年 岐阜県美術館

 
また、神秘主義的な要素や神話の主題といったものは、現代作家の作品にも受け継がれていますし、また現代生活の中の非日常を表現するアーティストも少なくありません。

最後の章では、彼らを「現代の魔法使いたち」として紹介する予定です。

 

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↑ 中澤英明《子供の顔――クマ》 2001年 愛知県美術館
  大人の世界を外側から見据える子供の視線は、大人の日常に裂け目をもたらすかのようです。

 

こんな風にざざっと「魔術/美術」の予告をしてみましたが、なんとなくイメージを持っていただけましたでしょうか?

本展は、あくまで美術館での展覧会ではありますが、技術や主題といった部分にのみ「魔術」を読み取るのではなく、「作る」という行為そのものへと人々を駆り立てる不思議な力を探る展示にできればと思っています。


担当学芸員としては、この展示を通してご来場の皆さん自身の中の隠された感性が刺激されればという願いを込めて、キャッチコピーを「あなたの魔性、めざめます」としました。

この春、ぜひ愛知県美術館で”魔性デビュー”してみてください。


「…と言われても何が展示されるのかさっぱり…でも何だか気になる!」と思ったあなた、すでに魔法にかかっているのかも知れません…。


(S.N.)