2012年03月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

うつし、うつくし展 発想のもと

2012年03月09日

うつし、うつくし展が始まって1ヶ月を過ぎ、展覧会をご覧になられたお客様からは、たいへん好評をいただいております。


「うつし」ということに焦点を当てて展覧会を構成するという発想のもとになったのが銅鏡だというと驚かれるかもしれません。
木村定三コレクションにはまとまった数の銅鏡があり、現在7面を展示しています。

(木村コレクションの銅鏡については、2012年2月21日のブログ記事でも紹介しています。)

 

blog_utsushi_concpet1.jpg

↑ 展示中の銅鏡(一部)


門外漢ながら銅鏡のことを調べていく中で、鏡背が同じ図柄のいわゆる同型鏡の中に「同笵鏡」と呼ばれる類の鏡があることを知りました。

「同笵鏡」というのは、同じ雌型から鋳出された鏡のことで、展示中の三角縁神獣鏡にも同笵鏡が一面あることが確認されています。

 

blog_utsushi_concpet2.jpg
↑ 三角縁神獣鏡(部分)。いちばん外側の縁の断面が△の形をしています。


この「同笵鏡」をつくるのと同じような工程・作業が、近代彫刻の世界では石膏原型からブロンズ彫刻をつくる場合でもおこなわれていることに気がつきました。  

(  ブロンズ彫刻の鋳造については、2012年3月5日のブログ記事で詳しく説明しています。)

 

考古遺物としての銅鏡も近代の美術作品としてのブロンズ彫刻も、つくられる過程で「うつし」という行為が介在しているという点で共通しているのです。

 

blog_utsushi_concpet3.jpg
↑ 戸張弧雁の石膏原型(真中の2体)とそれぞれのブロンズ作品


これを出発点として、版画はもっともわかりやすい「うつし」の例になるとか、絵画の場合はどのような「うつし」があるのかとか、発想を広げていってできたのがこの展覧会です。


昨年島根県立美術館で開催した「ふらんす物語」や杉本健吉による「新・平家物語」挿絵も展示していますが、すべてがワンコイン(500円)でご覧いただけます。

 

blog_utsushi_concpet4.jpg

 

あと2週間で終了しますので、早目のご来館をお待ちしております。


(H.F.)