2012年04月123456789101112131415161718192021222324252627282930
  展覧会の担当学芸員が取り組む業務の一つにカタログ作りがあります。カタログは展覧会が終了した後もずっと残りますので、おのずと学芸員は力が入ります。そういうわけで、今回はカタログのお話です。
 
 さて、まず気になるのはカタログの中身ですよね。魔術展のカタログの方向性を決めるにあたって担当者が最初に考えたのは「主観的、偏向的、周縁的で混交的。でも、感性を揺さぶるカタログを!」ということ。これは、学術的な情報をできるかぎり客観的に網羅することが求められる美術館のカタログとしてはNGかもしれません。しかし、出品作品の大半が各公立美術館できちんと調査研究されている※ので、これくらい型破りなコンセプトを掲げる余裕もあるわけです。さあ、魔術的なカタログの始まり、始まり・・・。
 
 というわけで、今回は美術館の担当学芸員以外に五名の方にテキスト執筆をお願いいたしました。出品作品にこだわらずに個々の執筆者の世界観が伝わるテキストを、と依頼したので、どのテキストもとても個性的です。早速、テキストを寄せてくださった方々を順にご紹介しましょう。
 
 まずは、文化人類学者、中島智さん。世界各地を巡り、シャーマンと呼ばれる方々と接してきた経験を持たれる中島さんは、石垣島の巫女をめぐる出来事から独自のアート論を展開されています。書き出しからゾクゾクするような文章です。
 より詳しく知りたい方には『文化のなかの野性 - 芸術人類学講義』(中島智/現代思潮社/2000年)をお勧めします。
 
 つづいて唄邦弘さんがアンドレ・マッソンとジョルジュ・バタイユ、神話の再解釈を巡るテキストを寄せてくださっています。すでに会場をご覧になった唄さんからは、ブルトンの部屋を想像させる、とのコメントをいただきました。専門家からそう言っていただけると嬉しいです!
majutsu_installation2.jpg
 ↑「ブルトンの部屋」みたいなのは、このコーナーですね。ここは思想家ジョルジュ・バタイユ等が編集した雑誌『ドキュマン』をベースに構成されています。芸術と文化人類学の垣根を越えた展示がポイント。唄さんのテキストを読むと理解も深まります。
 
中島さんはしばしば、表現者の意図や目的に回収されえない芸術作品の事後性について示唆されていますが、気づくと、このカタログもそんな感じです。担当者の意図を越えてテキスト同士が響きあい、それが一つの展覧会のかたちを作っているかのよう。
さあ、続く三名については第二弾にてご紹介します。お楽しみに!
 
IMG_6150.JPG  IMG_6147.JPG
 
↑おまけ。キラキラで人気のカタログ表紙(右)もホログラムを押さないとこんな感じ(左)です。これが最初に印刷見本として出てきたときは、担当学芸員もまさかあんなキラキラになるとは想像していませんでした。
 
(F.N.)
 
※この展覧会は愛知県美術館、岐阜県美術館、三重県立美術館の所蔵作品から構成されています。より詳しい作品情報を知りたい方は、各美術館の目録等をご覧下さい。

 魔術/美術展は始まって好評をいただいております。とくにツイッター上では話題としてとぎれず取り上げられていてうれしいかぎりです。カタログやオリヂナルグッズの販売も好調のようです。会期途中でなくなりそう!という心配の声も上がっています。
 最初の木曜日には、友の会の特別鑑賞会がありました。これは愛知県美術館友の会会員向けだけの特別プログラムです。昼の部と夜の部がありますがとくに夜の部は別室で展覧会全体のガイダンスを受けた後、美術館の閉館後に、貸し切りの状態で展示室に入っていただき、担当学芸員だけでなく他の学芸員もいっしょに観覧し、それぞれと思い思いに会話しながら楽しく鑑賞します。

友の会鑑賞会120419.JPG
 こういうときだからこその裏話を披露することもあり、友の会の参加者には大変好評です。今回も夜の部には30人ほどが参加され、お互いに話したり、作品のエピソードを聞いたりと楽しい時間を過ごしました。友の会入会は随時出来ますので、10階の美術館受付でお尋ねください。

 

 魔術・美術ついでにもう一つ話題を。

好評の魔術/美術展ですが、先日思わぬところで魔女を発見しました。

野点2.JPG 野点3P1070454.JPG

 博物館明治村では毎年「明治村茶会」が盛大に開催されているとのことです。今年は明治村内に三席用意されていた内、野点の会場が日本庭園であり、そのしつらえを愛知県美術館でも展覧会をやってもらったことのある造形作家の庄司達さんがされました。先年碧南市藤井達吉現代美術館での展覧会と同様のコンセプトのインスタレーションとなっていました。そして弟さんの信州さんが席亭の亭主を、もうひとりの弟宗文さんがお花を生けられていました。

煙管魔女.JPG  野点.JPG

 そして、そのお道具のなかの煙管を見せていただいてびっくり。それがスペイン製パイプで魔女が付いていたのです。説明の方も「これは魔女です。最近は美魔女なんて言う言葉もありますよね」と笑いを誘っていました。思わず愛知県美術館で「魔術/美術展やってます」と宣伝したくなりました。ほかの席では寄り付の掛物に横山大観であったり鈴木其一の作品が掛かったりしていて美術館で見るのとは違った眼の喜びがありました。ヨハネ教会.JPG

 上の写真は雨天のために用意されたヨハネ教会のなかのインスタレーションで、前日は雨模様でこちらで席が設けられたそうです。

 (S.T.)

当館で開催中の「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」。

「魔術」というキーワードの魔力のなせる業なのか、週末を中心にたくさんの方においでいただいています。

 

しかし、盛り上がっているのは展覧会だけではありません!

実は、アートショップも「魔術/美術」に合わせた展開となっています。

 

そこで今回は、魔術展会期中限定で、アートショップで販売する商品をご紹介いたします。


まずは、「魔術/美術」オリジナル・グッズ!

カタログ制作中に出てきたデザインがあまりにも可愛らしかったので、このデザインをお借りして、マジュビジュ風クリアファイルとノートを作りました。

まずは、パステルカラーが春らしいオリジナル・クリアファイル。

女性のお客様に大人気です。表も裏も繊細な模様でいっぱいです。

 

ma_clearfile.JPG
↑ 「魔術/美術」オリジナル・クリアファイル。A4サイズ。350円(税込)。

 


続いては、ちょっと渋めのオリジナル・ノート。

マジュビジュ風デザインはそのままに、タイトル部分だけを抜いています。

お好きなタイトルを書き込んで、あなただけのマジュビジュ風ノートを作ることができます。

中身は白無地なので、おしゃれなお絵かき帳としてもも使えますよ。

 

ma_notebook.JPG

↑ 「魔術/美術」オリジナル・ノート。A5サイズ。350円(税込)。

 

 

次に、「魔術/美術」オリジナルではありませんが、学芸員のイチオシ商品をご紹介します。

 

当館が所蔵する白隠慧鶴(はくいんえかく)の作品をモチーフにした、愛知県美術館オリジナルせんべいです。

 

ma_senbei.JPG

↑ 愛知県美術館オリジナルせんべい。5枚入り。380円(税込)

 

 

白隠慧鶴は、江戸時代中期の臨済宗の禅僧で、主に民衆への布教の目的から、禅の教えを表す墨画を数多く残しました。

その中には、漢字を絵の中にそのまま取り入れたものがあり、今回の魔術展でも、白隠のこの大胆なテクニックを紹介しています。

せんべいのモチーフになった作品《布袋図》は、袋の中に「寿」を入れた嬉しそうな表情の布袋様の姿を表したものです。

 

hakuin_hotei_s.jpg

↑ 白隠慧鶴《布袋図(ほていず)》江戸時代中期(18世紀) 愛知県美術館(木村定三コレクション)

 

 

ma_senbei_detail.JPG

↑ おせんべいにすると、こうなります。

 


実はこのおせんべい、作り方もなかなか本格的なのです。

製作していただいたのは、手焼きのおせんべいが自慢の製菓店「貴清堂本店」さん。

白隠の作品をもとに、オリジナルの焼き印を製作していただきました。

 

ma_senbei_yakiin.JPG

↑ 白隠《布袋図》をかたどった焼き印。手に持つとかなりの重みがあります。

 

この焼き印もおせんべいの横に展示(?)していますので、どうぞ手にとってご覧ください。


木村定三コレクションによる「禅の味」をお楽しみいただける白隠せんべい。お土産にもおすすめです!

 


その他、アートショップでは世界の呪術、おまじないグッズを取りそろえています。

 

ma_straps3.JPG
↑ メキシコの骸骨ストラップ。
  先祖の霊を迎えるお祭りの時に街に骸骨が飾られるそうです。ゆらゆら揺れる姿はむしろコミカル。

 

ma_horse.JPG

↑ ダーラナホースのマグネット。
  北欧に伝わる「幸運を呼ぶ馬」。デザインがおしゃれです。

 

ma_masks2.JPG

↑ インドネシアの魔除けの神様「バロン」のマグネット。
  個性的なマグネットをお探しの方はぜひ。

 

ma_ekeko.JPG

↑ エケッコおじさんの人形。
  アンデス地方で幸運を呼ぶとされる人形です。見ているだけで愉快な気持ちになります。(横のランプも気になりますね。)

 

そしておまけ。

現代の魔女といえば「美魔女」(年齢を重ねても若さと美しさを追究する女性たちを指す言葉です)。

ということで、美魔女の皆さんが注目する高級蜂蜜マヌカハニーも販売しています。

ニュージーランドに自生する植物マヌカの花からできる蜂蜜は抗菌性が高いとして、美容、健康などの面から話題なのだとか。

 

ma_honey.JPG

↑ マヌカハニー。 「美魔女」への第一歩!?

 

展覧会を楽しんだ後には、ショッピングも楽しめる「魔術/美術」。

アートショップをチェックするのもどうぞお忘れなく!

(S.N.)
 

APMoA Project, ARCH(アーチ) vol.1 として、吉本直子「Reflection Space―鼓動の庭」が始まりました。


といっても、皆さんの頭に一杯??マークが浮かんでしまうといけないので、ひとつひとつ順番に説明していきますね。


まず「APMoAって何?」って思われますよね。これは愛知県美術館の英語での名称Aichi Prefectural Museum of Art の単語の頭文字をとっています。これで「アプモア」って呼びます。ニューヨーク近代美術館(Museum of Modern Art)が「MoMA モマ」と呼ばれているのと同じ発想です。これからはどうぞ気軽に「アプモア」と呼んでください。


続きまして、「アーチ」というプロジェクトですが、名称は愛知県の「アイチ」と橋をかけることを意味する英語の「Arch(アーチ)」がかけられています(笑)

昨年まではテーマ展として、年に一度東海地方にゆかりのある作家さんを紹介する展覧会を行ってきました。このテーマ展を本年度リニューアルさせたのが、「ARCH」です。この新しい名前には、このプロジェクトが作家の表現活動をサポートし、作家、美術館、鑑賞者の架け橋になれば、という想いが込められています。紹介する作家さんは東海地方に限らず、日本全国、可能であれば海外の作家さんでも展示を行い、当館学芸員と作家さんが協同して展覧会を作ります。

またこのプロジェクトは企画展の会期にあわせて開催されますので、本年度はなんと5本!の展覧会が行われることになりました。


さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題!


このプロジェクトの輝かしい第1回を飾ってくださったのが、吉本直子さんです。

京都在住の作家さんで、白い古着を用いて作品を制作されます。今回吉本さんは「古着を用いた作品の集大成を見せたい!」とおっしゃってくださり、結果ものすごくパワフルな展示となりました!!

 

photo1_s.jpg
 

↑ これは古着をのりで固めたパネル。ものすごい数です!

 

photo2_s.jpg

↑ このパネルを壁にかけて、古着による巨大な壁面を作りました。

 


吉本さんは白い古着に露わになった染みや汚れに、人が生きた痕跡、いのちの証を見出して作品を制作します。展示室とガラスケースのインスタレーション、さらに美術館ロビーに立体3点が展示されています。実物はぜひ美術館に足を運んでご覧ください!


また4月28日には吉本さんご自身によるレクチャーを行います。

古着を用いて作品を作るようになったきっかけや、今回の展示に込めた想いなどを語っていただきます。時々関西弁をまじえてお話されるチャーミングな吉本さんに、ぜひ会いに来てください。


(余談ですが...)展示中からずっと「あんかけスパ食べたい!」とおっしゃっていた吉本さん。展示作業で時間がなく、残念ながらあんかけスパ屋さんにはいけなかったので、皆様レクチャーにお越しいただき、おいしいあんかけスパが食べられるお店を吉本さんに教えてあげてください!

(M.MR.)
 

 ツイッター上で何かと話題になっていた「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」展がついに始まりました。12日には大村知事をはじめ多くの招待者を迎えて開会式が行われました。来場者も300人ほどで大変混雑しました。一言では伝えにくいのですが、魅力的な展覧会であることはチラシなどでも伝わっていたようです。魔術開会式.JPG  魔術1室.JPG
 
 そして一般公開は、13日の金曜日! まったく展覧会タイトルにぴったりだと思いませんか?
 展示室内は、「魔術」をキーワードに「だまし絵」「遠近法」「江戸絵画」「天体」「数字」等々様々な切り口から古今東西の作品を紹介しています。展覧会入り口にはシュルレアリストのアンドレ・ブルトンの言葉が記されたカーテンが下がっています。美術と魔術の近い関係を想起させます。最初の部屋には、現代美術の野村仁、能面、そしてサルバドール・ダリの作品が象徴的に来館者を迎えます。そのあとは・・・・ぜひ来館してお楽しみください。
 
 入口.JPG

そして、ロビーには魔法使いに変身できるコーナーが設けられています。展示室内はよく考えられたきちんとした展示ですが、展示室外ではお子様も含めて楽しんでいただける仕掛けが用意してあります。ここだけ楽しんでいくのもアリかも、などというと担当者に叱られるかな

(S.T.)

魔術コス.JPG

まもなく一般公開

2012年04月11日

 本年度最初の企画展「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」の準備も大詰めになりました。

13日の金曜日からは一般公開が始まります。
 担当学芸員は連日、夜遅くまで準備をしています。ようやくカタログも姿を現しました。黒地にホログラムの模様がとてもおしゃれで、ツイッター上では話題になっているとのこと(私は未だスマートフォンではないのでやや話題におくれぎみですが)。
魔術美術図録.JPG 


 また、展覧会グッズも担当者のアイデアで準備されています。その一つ、クリアファイルは、カタログ表紙と逆で白地にカラフルな模様がかわいらしく、女性の目を特に引きつけそうです。
魔美術クリア.JPG   魔術美術クリア.JPG

   
 そして、展示内容のほかに来館者に話題になりそうなのが、魔法使いのコスプレの出来るようにしようと考えていることです。展示室内では能面や古い狛犬にはじまって、1500年代のヨーロッパの古い版画から現代作家の21世紀になってからの作品や、はたまた心に染みる映像作品にいたるまで、東洋、西洋を問わずまた時代も自由に、「魔術」をキーワードに作品が選択されて、展示としてもきちんと考えられた、非常にきれいな展示がされていますが、展示室外では、魔法使いの衣装を着けて記念写真を自由に撮っていただけるような気軽なコーナーも設けようと考えています。どうぞお楽しみにしてください。子供用もありますよ。(S.T.)

魔美術コスプレ(編集済み).JPG

「うつし、うつくし」展のなかで展示されていた銅鐸(木村定三コレクション)をご記憶の方もいらっしゃると思います。この銅鐸には興味深い事実があります。展覧会は終了しましたが、ここでご紹介いたします。

 

ご承知のとおり、銅鐸は弥生時代に特有の金属器で、近畿を中心に、中部地方以西に分布することが知られています。そして、祭祀の時などに、特殊な目的で用いられたものと考えられています。もともとは音を鳴らすための鐘としての機能をもつものだ

ったようで、初期のものは小型で、上部の吊り手部分の「鈕(ちゅう)」にひもを通して吊し、本体部分「身(しん)」の内側に「舌(ぜつ)」を付けて、鈴のように鳴らしたものと推測されています。

さらに、銅鐸は集落跡などの遺跡発掘ではほとんど確認されることはありません。工事などの際に偶然発見されることが多く、これも大きな謎となってきました。

銅鐸は、やがて本来の鳴らすという機能を失っていき、時代を経るに従い装飾的で大型のものが作られるようになっていったとされています。

 

木村定三コレクションの銅鐸は「四区袈裟襷文銅鐸(よんくけさだすきもんどうたく)」という型式です。編年的には第三段階「扁平鈕式(へんぺいちゅうしき)」と呼ばれるもので、弥生時代の中期、紀元前1世紀頃に制作されたものと推定されています。銅鐸の時代を推定する編年研究のポイントは、「鈕」の形態の変化を一つの指標としていて、「扁平鈕式」というのは、もとは「紐」の断面が菱形だったのが、扁平になった段階のものという意味です。

銅鐸1.jpg

↑ 木村定三コレクションの《四区袈裟襷文銅鐸(よんくけさだすきもんどうたく)》

 

ところでこの銅鐸を納めた箱には「唐物喚鐘花瓶(からものかんしょうかびん)」と書いた紙が貼られています。つまり、この銅鐸は、ある時期、花瓶として使われていたと言うことです。

 

細部を観察してみましょう。

まず、上部の平らな部分、銅鐸としては「舞(まい)」と呼ばれるところですが、ここが大きく切り取られていることが判ります。もともと、この部分は銅鐸を鋳造するときの技術的な事情から、小さな穴があることが多いのですが、ここでは明確に手が加えられています。また、よく観察すると「鈕」の内縁も少し削り取られていて、花が生けやすいように改造されています。

銅鐸2.jpg

↑ 花を生けるため「舞(まい)」の部分が大きく切り取られています。

 

その他にも花瓶としての改造部分はあります。背面(本来銅鐸には表裏はないので、花瓶としての裏側という意味)には、これを懸けるための金具が取り付けられています。さらに、銅鐸の「身」の部分にもともとあった穴はふさがれて、水が漏れ出さないように手が加えられ、もちろん、内部には、花瓶として使えるよう底板が取り付けられています。

つまり、この銅鐸は、弥生時代の考古資料であるばかりか、茶の湯などで用いられた「掛花生(かけはないけ)」でもあったわけです。

銅鐸3.jpg

↑ 背面に金具が取り付けられています。金具の両側には穴が塞がれた跡が見えます。

 

銅鐸4.jpg

↑ 花瓶として使えるように、底板が取り付けられています。

 

このような銅鐸の道具などへの転用については、難波洋三氏が「花入などに転用された銅鐸」と題して、その概要を報告されています(『京都国立博物館だより』149号、2006年)。

それによれば2006年段階で、難波氏が何らかの転用を把握していたものが43個あり、実際には50個以上あるのでは、と推定されています。それは出土総数の一割以上になるとのことです。そして、このような転用は、その多くが花生であるということ、そして、それは江戸時代を中心に行われていたということを紹介されています。

 

銅鐸に限らず、長く伝世したものには、本来とは違った目的で用いられたり、そのために手が加えられたりすることがあります。この銅鐸は、その典型的なものということができます。

(M.M.)