2012年12月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

 APMoA Project, ARCH vol. 4の作家・奥村雄樹さんを講師にお招きして、アートラボあいちでワークショップ「くうそうかいぼうがく」を行いました。

 くうそうかいぼうがく(空想解剖学)とは、奥村さんの造語で、身体の内側のことについての解剖学的な知識が欠落している部分について、普段の生活のなかでの経験を通じてわたしたちが作り上げているイメージに基づいた解剖学のことです。たとえば、走ると心臓がドキドキする、転んだら血が出る、口から食べ物を入れたらお尻から出てくる、といった日常的な経験によって、どこにどのように内臓や器官が配置されているかについての精確な知識がなくても、自分の身体がどんなふうにできているかについて、わたしたちははっきりとイメージすることができます。普段あまり意識することはないけれど、皆それぞれに持っている体内のイメージを描き出してみよう、という趣旨のワークショップです。普段は子ども限定で行われることが多いこの「くうそうかいぼうがく」ですが、今回は通りがかった方でも気軽に参加できるように、と年齢制限ナシ。

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 皆さん描きながら色んなことを説明してくださいます。

 「ここまで毒が入ってるの!」え?え?

 「タバコを吸うからか、どうしても肺に意識が行くんだよね。肺に対して後ろめたい気持ちがあるのかな(笑)」わかります。。

 「お腹の中に、ごませんべいを溶かしてくれる人がいるの」ごませんべい限定なん?

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 自分で自分のお腹を切って手術したブラックジャックのように、自分の身体の中を開いて見たことのある人は殆どいないと思います。もちろん胃カメラやCTスキャン、エコーなど、技術的に体内の様子を探る方法はいくつもありますが、それらを使わなくても、わたしたちは普段から自分の身体のなかのことを想像で豊かに補いながら生活しています。そんな自分の想像力に気付かせてくれる、楽しいワークショップでした。

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 ご参加いただいた皆さんのステキな体内(ある意味ヌードより赤裸々です)は、2月11日までアートラボあいち1Fに展示されていますので、美術館での展示「善兵衛の目玉(宇宙編)」と合わせて、是非足をお運びくださいませ。(KS)

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アートラボあいちの場所はこちら↓


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開会式、大盛況!

2012年12月21日

12月20日(木)師走も半ばを過ぎたこの時期の開会式だったので、招待者の来場数がちょっと心配ではあったのですが、それは杞憂に終わり、ここ数年の中でも特に大勢の招待者でにぎわった開会式となりました。それだけこの展覧会を心待ちにしていた人たちが沢山だったということでしょう。

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 開会式は副館長が司会を務めるのが愛知県美術館の開館以来の定番なのですが、今回は大村知事や駐日オーストリア大使の出席もあり、共催者に東海テレビ放送が入っていることもあって、東海テレビの松井美智子アナウンサーが司会を務めました。その結果いつもにもまして華やいだ雰囲気となりました。(美しい松井アナの写真を載せたいのですが、当日のカメラ係りが見とれてシャッターを押すのを忘れてしまったようで記録写真ファイルに残されていないのが残念です。)

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 大村知事の挨拶の前ふりには「こんなに沢山の方の開会式は初めて」という言葉もあったように、会場のロビーは身動きできないほどになってしまいました。
 
 展示室内ではストックレー邸のダイニングを実物大再現したコーナーに展示されている複製壁画は写真撮影が許可されているので、さっそく携帯電話やデジカメを構えている方が見受けられました。ポロック展のアトリエ復元展示を思い出すという方もいました。

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 余談ですが、オーストリア大使をお見送りしたとき、大使は「自分が4歳の時初めて日本人を見た。それはトニー・ザイラーと競っていた猪谷千春だった」と言われました。さすがにアルペン競技の盛んな国だけのことはあると感心しました。えっ!トニー・ザイラーも猪谷千春も知らないって?オリンピックのアルペン・スラロームで金、銀となったふたりです。猪谷千春は冬季オリンピックで日本人初のメダリストなのですが・・・・・。たしかに二人の名前に反応できる人は年齢が・・・・・。(ST)

 いよいよ目前に迫った「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展、準備も最後の仕上げをしています。
 愛知県美術館の企画展示室は天井高が6m近くあります。

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作品を壁に掛けたり、ケースに入れたりした後に、細心の注意を払いながら照明をしていきます。スポットライトを取り付けるとき、高所恐怖症の人には高所作業台の上での作業はスリル満点かもしれません。

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 よりよく作品が見えるように、しかも作品保存の観点からは照度制限のある作品も多く(特に紙の作品や染色の作品などは厳しい照度設定が条件で借りることになります)、その取り合わせは照明をする時にパズルのようになることもしばしば。 

 ときには照明の条件から展示場所を移動することさえあります。観客の皆さんがストレスなく作品を愉しんでいただくためには、各作品の配置や高さなどだけでなく照明も極めて重要な要素です。


 展覧会準備はロビーに設けられた特設のショップでも進められています。話題の「クリムト黄金の騎士カレー」も出番を待っています。

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 明日は開会式、そして21日金曜日からは一般公開です。皆様のご来館をお待ちしています。(ST)

先日、ウエスティン・ナゴヤキャッスルのレストラン「クラウン」にて、クリムト「黄金の騎士カレー」の試食会が開催されました。

 

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このオリジナル・ビーフカレーは、12月21日から開催する「生誕150年 クリムト《黄金の騎士》をめぐる物語」展の開催に合わせて、愛知県美術館とナゴヤキャッスルとで共同開発したものです。

クリムトの絵画に見られる官能的な世界、そして愛知県美術館の所蔵する《人生は戦いなり(黄金の騎士)》(1903年)に込められた強い意志をカレーで表現してください、という美術館のリクエストに応え、腕利きのシェフが試作を重ねて完成させてくださったものです。


当日は、名古屋城が一望できる部屋に、ご応募いただいた皆さんにお集まりいただきました。

 

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試食に先立ち、横尾副総料理長から「美術館のリクエストに応え、甘くまろやかさの後にスパイスが追いかけてくるオリジナルカレーを作り上げました。」という説明をいただきました。

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そして、いよいよ試食がスタート。

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実際に食べてみると、まず、まろやかで、ちょっと甘い上品な味が口に広がります。

そして一呼吸、いや二呼吸ほどしてから、スパイシーな心地よい刺激がやってきます。

クリムトの官能的な世界を「まろやかな甘さ」で、その強い意志を「スパイス」で表現した絶妙の味わいです。

 

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試食会に参加いただいた方からは、

「後から口の中に広がるスパイシーな風味が大人のカレーらしく期待以上の味で大満足です。」

「『最初はまろやか、後からスパイスが追いかけてくる』というイメージの再現率の高さに驚きました。」

「大変上品な奥深い味のカレー、おいしかったです。まるでクリムトの絵に出てくる色とりどりのモザイクのように色んな味わいが楽しめました。」

といった感想をいただきました。


試食会では、カレーの話はもちろん、クリムト《人生は戦いなり(黄金の騎士)》にまつわる話などもまじえて、ご参加いただいた皆さんと、和やかで楽しいひとときを過ごすことができました。

レトルトパックの「黄金の騎士カレー」は、展覧会にあわせて、12月21日から愛知県美術館のショップと、ウェスティン・ナゴヤキャッスルでお買い求めいただけます。

ぜひ一度ご賞味ください。

(M.M.)

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一人前200g、500円(税込)です!


 

映画『クリムト』

2012年12月08日

  現在愛知芸術文化センターでは「第17回アートフィルム・フェスティバル」が開かれています。12月4日から2週間に亘って、アート系のドキュメンタリーや実験的な映像作品から芸術文化センターのオリジナル映像作品などが無料で見られます。詳しいスケジュールは、愛知芸術文化センターのホームページをご覧いただきたいと思います。

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 その中でも美術館としてお勧めは、「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展開催記念として上映されるラウル・ルイス監督の劇映画『クリムト』です。ルイス監督は残念ながら昨年8月に亡くなっており、追悼上映ともなります。

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 2006年に話題となった映画で、芸術文化センター12階のアートスペースAにおいて12月16日(日曜日)13時30分からの上映です。先着180名で「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展前売券ご持参の方から優先的に入場ということですが、映画を見るのは無料です。もし前売券をお持ちでなくてもその日に前売券を買うこともできますから、12月21日から始まるクリムト展を見る前の予習にいかがでしょうか?ちなみにこの映画はR?15指定です。やはりクリムトの映画だからなのか14歳以下は入場できませんのでお子様連れの方は気を付けてください。(ST)

愛知県美術館は、現在展示替えのため閉館中です。


しかし・・・・

その裏側では、次の企画展の準備が着々と進んでおります!

 


といっても作品はまだ展示室にはありません。

作品展示を始める前に、壁を立てたり、ステージを作ったり、展示台を設えたりしなければならないからです。

ディスプレイ業者の方による「大工仕事」から、展覧会の準備は始まるのです!

 


ところで、展覧会におけるディスプレイの役割とは何でしょうか。


●展示作品をよりよく見せる。

●展示作品と鑑賞者の安全を保つ。

●展覧会全体の雰囲気を演出/統一する。

…などなど


が考えられます。

展示される作品によってどのようなディスプレイを準備するか、担当の学芸員が頭をひねることになります。

同じ作品の展示であっても、ディスプレイ次第で作品の見え方や会場の雰囲気はがらりと変わりますから、これも学芸員の腕の見せ所のひとつと言ってもよいかもしれません。

(もちろん、予算が大きな壁となることもしばしばあります・・・)

 


さて、今回の「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展では、このディスプレイがなかなか大がかりになっています。

というのも、今回の展覧会は、絵画や彫刻だけではなく、雑誌、家具、ジュエリー、食器といった展示品が多く含まれているからです。

これらオーソドックスな美術品ではないものをよりよく見せるためには、ディスプレイにも特別な工夫が必要になるわけです。

 


それでは、ディスプレイの施工の様子をのぞいてみましょう。

 

 

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↑ 普段は見られない立派なステージ付きバックパネルが設置されています。
  ここに展示されるのは一体どんな作品なのでしょう?

 

 

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↑ 同じサイズの展示台がたくさん。これから白く経師(きょうじ)されていくようです。

 

 

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↑ 真っ白な斜面台もたくさん作られています。
  こんなにたくさん準備されているのは初めて見ました。

 

 

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↑ 何やら変わった形の台も…。

 

 

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↑ こんな幅広いステージも作られています!

 

 

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↑ この半円形のパネルは一体何に使われるのでしょう??

 

さて皆さん、実際の展示の様子がほんの少しイメージできたでしょうか?
 

まだ作品は影も形もない状態ですが、ディスプレイが完成する頃には、展覧会の形が見えてきます。

学芸員にとって、担当する展覧会の展示作業は最も力が入るところですが、このディスプレイ施行の段階が一番わくわくするプロセスかもしれません。

 


そして、ディスプレイの施行が終わると、いよいよ作品の展示が始まります。

そこでは、作品が存在感をあらわすと同時に、ディスプレイもその役割を発揮します。

ご来場の皆様には、作品を楽しんでいただくとともに、ぜひとも、そんな生き生きとした展示台たちや斜面台たちをご覧いただきたいと思います。


「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展の開幕まで、あと17日です!

(S.N.)