2013年12月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

 コンサートなどのチケットはかなり前からオンラインチケットのみに統一されており、展覧会のチケットも近頃はオンラインが増えてきています。でも、今もデザインに工夫を凝らして、その都度新しく作るのが展覧会チケットの主流。プレイガイドのショーケースにいろんな展覧会チケットが並べられ、それぞれに個性を競っているのは皆さんご存じのとおりです。ところでこの展覧会のチケット、どれもほぼ同じサイズで作られているようですが、長さはかなり違いますし、幅の狭いものから広いものまで、さまざまなものがあります。

 愛知県美術館でも、以前は展覧会ごとに異なるサイズのチケットを作っており、おおむね最近のものよりかなり縦に長いかたちでした。当時よく会場入口のスタッフから「お客様が半券のないチケットをお持ちなのですが…。」という連絡がありましたが、その原因はチケットを財布や小さなバッグに収納するとき、そのままだと長すぎるのでミシン目のある半券のところから折って入れることによるものだったようです。紙幣の出し入れなどを繰り返しているうちに半券が外れて紛失してしまうのでしょう。かといって、ミシン目をなくせば受付での切り離しが大変だし、さてどうしたものか…?そこで閃いたのが、「一万円札と同じサイズにすれば、半券部分を折らずに財布などに収納できる!」というアイデアでした。それ以降、当館のチケットはできるだけ一万円札サイズで統一することにしました。一般的なチケットよりちょっと寸詰まりで幅広な感じにはなりましたが、扱いやすいサイズになっているのではないでしょうか。それ以降、半券のないチケットをお持ちになるお客様がずいぶん少なくなりましたので、その効果は大きかったようです。

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▲クレー、ステラは今見るとかなり長い!エルンスト、魔術美術、ポロックは一万円札と同じ長さで幅はやや狭く、応挙、クリムトは一万円札と同じ幅でほんの少し長めです。

 一万円札サイズのチケットは、一般的なものより数センチ短いのですが、これが意外に大変でデザイナー泣かせのようです。チケットのメインビジュアルに使う作品によってはおさまりの悪いこともあります。展覧会のタイトルや基本情報をはじめとするテキストも多く、これら全てをあの小さな紙面に配置し、上手くデザインするのはなかなか難しいことなのです(そのためかここのところまた一万円札より数ミリ長くなっていたりしますが…)。前売り券を入手されたとき、またご来館の折りに、当館のチケットを一度じっくりご覧になってみてください。

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▲印象派を超えてのチケット。

 なお、オンラインチケットをご持参いただいたお客様も、会場入口でオリジナルのチケットに交換させていただいていますので、どうぞご安心ください。
(MM)
 

 去る2013年11月28日付で、文化庁から次のような承認証が送られてきました。

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 「文化財保護法第53条の規定に基づく公開承認施設であることを証する/承認の期間は平成25年11月28日から平成30年11月27日までとする」と書いてあります。この「公開承認施設」とはどのような施設のことを指しているのでしょうか?

 国宝を含めた重要文化財は、広く皆さんに親しんでいただく機会を出来る限り確保したいところですが、材質上脆弱なものが多いため公開したら壊れてしまった、ではお話になりません。したがって、重要文化財の展示を計画する施設は、基本的にその都度文化庁長官に対して「わたしたちは文化財を適切に取り扱います、大丈夫です!しかもこれだけの人に観てもらえますよ!」ということを示して、許可を得なければならない仕組みになっています。しかし、あらかじめ「わたしたちは常日頃から重要文化財を展示するための諸条件をクリアしていますよ」ということを届け出ておけば、展示の都度許可を得なくてもよいという決まりがあります。この諸条件をクリアしている施設が、公開承認施設なのです。
参照:e-Gov|文化財保護法 第五十三条(所有者等以外の者による公開)

 では、どういう条件をクリアせねばならないのでしょう。防火防犯体制がしっかりしているのはもちろんのこと、温湿度管理が適切に維持できる設備があるか、文化財の取り扱いに習熟した専任の学芸員が2名以上いるか、そして過去5年間に重要文化財を適切に公開した実績が3回以上あるか、などなど厳しい基準が盛りだくさん!
参照:文化庁|美術館・歴史博物館|公開承認施設

 さらに、公開承認施設になったからといって、重要文化財を好き放題に展示できるというわけにはいきません。公開や公開のための移動で作品の損壊が進行するおそれがあれば、抜本的な修理を施すまで公開できませんし、そうでなくても原則として年2回以内、延べ60日以内(劣化の危険性が高ければ30日以内)に抑える、巻物を傾斜台で展示するときは原則30度以下の角度で、などなど、多岐に渡って取扱の条件が定められています。このような厳しい条件を幾つもクリアして、ようやく公開OKとなります。
参照:【PDF】国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項(平成8年7月12日文化庁長官裁定)

 日本美術の展覧会で、頻繁に展示替えがあって、どのタイミングで観に行こうか困ってしまうこと、たまにありますよね?でも、あの頻繁な展示替えの理由のひとつに実はこのような重要文化財の公開条件が関係しています。ちょっと展示するだけなのに、こんなに細かく決められてるの?と驚かれるかも知れませんが、これらの条件を守ることによって、現在わたしたちが観ることのできる数々の文化財が、100年後、200年後にも現在と同じような状態を保ったまま、その時代の人々の眼を愉しませることができるのです。
(KS)