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見る食い入る目と、皆認める良い胡桃(回文)

2014年04月30日

 みなさん「冬芽」ってご存知ですか?冬芽(ふゆめ/とうが)とは、樹が休眠・越冬する時期にみられる、葉や花を準備する芽のことです。寒さや乾燥を防ぐために毛や鱗で覆われた冬芽を帽子や角に見立て、その下にある葉柄の維管束の痕を目や口に見立てると、樹木ごとに違った表情の顔が現れます。

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▲筆者が実家で撮影したアジサイの冬芽。顔文字( ´・_・`)みたいでかわいい。

 と、まるで植物園のブログかのように書き出してしまいましたが、実は現在開催中のAPMoA Project, ARCH vol. 9「山内崇嗣 くるみの部屋」では、オニグルミの冬芽をめぐる展示を行っています。なんといってもオニグルミの冬芽は柔らかな毛に包まれた大きく立派な顔(よくヒツジに似ていると言われます)なのです。

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▲オニグルミの冬芽、矢印部分全部顔。実際に展示されています。

 山内さんは、地元の自然観察会に参加した際にこの冬芽に出会い、植物なのに顔に見えるという不思議さに惹かれて、それを作品制作に取り入れています。オニグルミの冬芽をクロースアップで捉えた絵は、植物画や静物画のようでもありますが、同時に誰かの(ヒツジの?)肖像画にもなっている、というわけです。

 さらに、山内さんの興味は冬芽だけに留まらず、オニグルミそのものにも向かいます。先日行われたアーティストトーク&記念座談会「くるみ会議」は、その名の通りくるみについてひたすら掘り下げるという美術館らしからぬイベント。ゲストに、東谷山を中心に野生のニホンリスの保護や調査研究をされているボランティア団体「守山リス研究会」の会長・北山克己さんと、滋賀県甲賀市で木工作家として活躍されている川端健夫さんのお二人を招き、リスとくるみの関係、くるみの形質変化と淘汰、くるみ材の性質や特徴、日本各地の城にくるみが植樹されている理由などなど、2時間にわたってまさにくるみ尽くしの話をしていただきました。
 
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▲左から北山さん、川端さん、山内さん、わたし。

 この展覧会の準備を始めてから、わたしも家のまわりの街路樹や実家の庭にそれまでとは違った眼を向けるようになりました。ほんの少しのきっかけで、それまで気にもかけなかったものがとても魅力的な存在に思えてくる、展覧会を通じてそんな体験ができたことが新鮮でした。展覧会会場では、いつもの展覧会リーフレットにくわえて、東谷山のくるみマップも配布しています。展覧会はシャガール展と同じ6月8日[日]まで。美術館で樹木観察、してみませんか?
(KS)