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釜か(回文)

2014年10月08日

 今期の木村定三コレクション展示室は、茶釜特集です。茶釜と茶杓が展示されています。え、地味ですか?いやいや、じっくりみるとなかなか面白いものなんです。

 茶釜は点茶でお湯を沸かす必須の道具ですが、その重厚な存在感は、茶席の空間全体の雰囲気をがらりと変えてしまうほどです。室町時代の初め頃に、九州北部の芦屋の鋳物師たちが製造した真形(しんなり)の釜から、利休の時代の侘びた風情のシンプルな阿弥陀堂釜や雲龍釜、そして江戸時代に各地方の城下で製作された釜たち。木村コレクションには、これら各時代・各様式の茶釜がほぼ網羅されているのです。茶碗や茶杓をコレクションする方はたくさんいらっしゃいますが、茶釜のコレクターは非常に珍しい存在です。

 一方の茶杓は、茶入などから抹茶をすくって茶碗に入れるための小さな匙で、竹製のものが一般的です。茶杓発祥の地はお茶のふるさと・中国ですが、中国では金・銀・象牙などのものが一般的で、今回展示されているような筒を伴う竹の茶杓は室町時代末に考案された日本の茶人オリジナルの文化なのです。茶杓は一本一本材料の竹や削り方でその姿が異なります。それぞれに付けられた銘も面白い!(例えば「カマキリ」や「水仙」、「カチカチ山」なんてのもあります)。

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▲展示風景

 さて、これらの茶釜や茶杓等をまとめたカタログ『茶道具—金属工芸・竹工芸を中心に』(税込2,500円)が、昨年刊行されました。同書所収の京都国立博物館名誉館員・久保智康先生による「金工の茶道具:茶湯釜と銅器を中心に」と、竹芸家の池田瓢阿先生による「竹工芸による茶道具について」を併せてお読みいただければ、この奥深い茶道具の世界がより広がって見えてくるはず。

 カタログは10階のミュージアムショップで販売しておりますが、上司から「さらに何か売れる工夫をするように!」と指示を受けまして、販促グッズを開発いたしました。今期の展示期間中限定で、この『茶道具』カタログお買い上げの方に、豊臣秀吉から細川三斎が拝領したという《大耳釜》のオリジナルペーパークラフトをプレゼントします!ペン立てとしても使えます。ただし、作るのにはハサミと糊と手先の器用さと根気と一時間程度のお暇な時間が必要ですのでご注意を。
(KS)

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▲試作品の数々。左から順にver. 1からver. 4まで。

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▲実物と比較する筆者。ちょっと赤みが強すぎました(修正済み)。

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▲カタログと大耳釜(紙)と桐箱(紙)。