2014年11月123456789101112131415161718192021222324252627282930

 2014年も11月の半ばを過ぎ、だんだんと、年の瀬という雰囲気になってきました。愛知芸術文化センターにとって今年は、1992年の開館以来の大きな組織改編の年でもありましたが、それがあと1ヶ月少しで終わるのかと思うと、ちょっと感慨深いものがあります。
 愛知県芸術劇場の運営を(公財)愛知県文化振興事業団が行うという指定管理者制度の導入は、これまで新聞等でもある程度、報道されてきました。愛知県文化情報センターの公演事業は事業団が引き継ぎましたが、その一方で映像事業がどうなるのか? といったことは特に報じられず、上映会を定期的に訪れられるお客様からは、映像はどうなってしまうのか、という質問をいただくこともありました。


 ただ、愛知県美術館の「2014年度展覧会スケジュール」には、映像事業がラインナップの一つとして掲載されていましたし、夏の「これからの写真」展では、展覧会に併せる形で、12階のアートスペースAを会場に、コレクション作品上映会「フィルムからデジタルへ」を開催しました。4月より試行として始まった、映像作品を紹介するスペースであるビデオテークでも、文化情報センターが企画・制作していた「愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品」を上映しています。ですので、美術館の事業として映像分野が引き継がれていることは、徐々に伝わりつつあるのではないか、と思います。

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▲ジャン=フランソワ・ラギオニの『LE TABLEAU』(絵の中の小さな人々/2011年)

 11月23日(日)から始まっている「第19回アートフィルム・フェスティバル」は、「第19回」とカウントされている通り、文化情報センターから映像事業を引き継いで行うものです。その一方で、美術館の企画として行うことも意識して、初日には黒の抽象絵画で知られる画家ピエール・スーラージュに関する短編ドキュメンタリー、フランソワ・カイヤ『CHAMBRE NOIRE, CINQ PEINTURES DE PIERRE SOULAGES』(黒い部屋、ピエール・スーラージュの5つの絵/1983年)と、絵を描くことをモチーフにしたアニメーション、ジャン=フランソワ・ラギオニの『LE TABLEAU』(絵の中の小さな人々/2011年)を併せて上映する、といったプログラムを組んでいます。また、28日(金)には、ウケ・ホーヘンダイク『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年)と、当館の古田浩俊課長のトークも行います。

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▲ウケ・ホーヘンダイク『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年)

映画祭ではしばしばあるのですが、直前になってプログラムが変更になったり、作品が差し替えになったり、といったことが起こります。(絵の中の小さな人々)は英語字幕で上映を予定していましたが、実際には当日、日本語字幕版で上映できたのも、そんな例の一つです。12月7日(日)の最終日まで、多少のアクシデントもあるかもしれませんが、映画ファンの方も、美術愛好家の方も、共に楽しんでいただければ幸いです。

アートフィルム・フェスティヴァルの上映プログラムについてはこちらを、スケジュールについてはこちらをご覧ください。

(T.E)

皆さん、こんにちは。街中のBGMがジングルベルに染まりつつある今日この頃、まるで冷やし中華のお知らせのように季節外れなスタイルで始めてみましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。皆さんの中には既にお気づきで、さらに実際に作品をご鑑賞頂いた方も少なくないのではないかと思いますが、今年の4月から当館の10階ビデオテーク内の一室を映像コーナーとして整備し、コレクションなどの映像作品を選んで企画展会期ごとに1作品ずつ上映しております。

 

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ここがビデオテークの入口です。入って左側が映像コーナーです。右側はビデオ番組コーナーで、こちらでは美術館のオリジナル番組がご覧いただけます。例えば今回の内容に関するものだと、「中西夏之-絵の姿形-」がおススメです。また学芸員の昔の姿が見られる「美術館学芸員の仕事」も色んな意味でおススメです。


 昨年のあいちトリエンナーレや各地で行われている展覧会などでも明らかなように、美術家による映像作品は、近年の現代美術のトレンドと言って良いほどに盛んに制作されています。それらは映像を撮る/見ることの構造へ向けた視点や、それぞれの問題意識を映像の中で追及する手つきにおいて、映画業界で修業を積んだ映画監督が撮った作品とはまた異なる持ち味を持っています。

こうした傾向に対して、当館でも収集活動を通じて少しずつフォローしていますが、一方で映像の作品をコレクション展示の中に組み込むには難しい問題もあります。一般的に映像に適した上映環境というのは(プロジェクターを用いる場合は特に)、壁やカーテンで仕切られた暗室です。けれどもコレクション展示の中では他の絵画作品などにも照明を当てる必要があるために、なかなかこうした環境は準備しにくく、せっかく所蔵している映像作品についてもお見せする機会をあまり作れていませんでした。

また、昨年度まで文化情報センターが行っていた映像事業を、この春から美術館が引き継ぐことになりました。それに伴って、多数の受賞歴を誇るこれまでの愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品を、今後どのように公開していくのかという事も重要な課題となりました。

春から運用を開始したビデオテークでの映像上映は、上記の課題を解決して、コンスタントにコレクションの映像をお見せするためのものです。記念すべき第1回目は、昨年度新たに収蔵された田中功起による《買物袋、ビール、鳩にキャビアほか》(2004)でした。2回目は同じく新収蔵作品の奥村雄樹《ジュン・ヤン 忘却と記憶についての短いレクチャー》(2011)、3回目は牧野貴《Generator》(2011)と続き、デュフィ展開催中の現在は、ダニエル・シュミット《KAZUO OHNO》(1995)を上映中です(《Generator》と《KAZUO OHNO》は愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品です)。

 

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この銀色のスタンドに作品のキャプションと解説がありますのでお見逃しなく。

ちなみに上映作品のセレクションについては、例えば現在の《KAZUO OHNO》の場合であれば、大野一雄に《ラ・アルヘンチーナ頌》(1977年初演)のインスピレーションを与えたことで有名な中西夏之の作品が近くに展示されていますし、奥村雄樹作品の場合は「あなたのリアル、わたしのリアル。」展で展開されていたリアルとは何かという問いが、オリジナル/オリジンの問題として変奏されているように、他のコレクション展との関わりにも注目して頂けるとより一層楽しんで頂けることと思います。

ちなみに11月23日から行われる第19回アート・フィルム・フェスティヴァルでは、奥村雄樹のもう一つの所蔵作品《善兵衛の目玉(宇宙編)》(2012年)や、愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品の最新作である三宅唱監督の《THE COCKPIT》(2014年)の初公開も行われますので、こちらも是非合わせてご覧ください。

 

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第19回アート・フィルム・フェスティヴァルのチラシ。上映プログラムについてはこちらを、スケジュールについてはこちらをご覧ください。

(TI)