2015年03月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

今回は2月に行われた関連講演会の様子をお届けします。2月21日には本展覧会の図録も監修されている、一橋大学名誉教授の河村錠一郎氏による講演会「ロイヤル・アカデミーとシェイクスピア、そしてターナー」が行われました。

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会場の前には参加を希望するお客様で長蛇の列が出来ていた程の大盛況!今回、河村先生には英国美術と物語の関係性について語って頂きました。英国美術には、ある物語の一場面を取り上げたものが多く見受けられます。物語が様々な表現手段によって表象される一例として、まずシェイクスピアによる『ハムレット』のある場面をオペラと映画の両方で見比べました。その後、ターナーやカンスタブルといった出品作家における物語性を解説していただきました。また、ジョン・エヴァレット・ミレイによって描かれたことで著名な《オフィーリア》は、ロセッティやウォーターハウスといった画家たちも主題としていたという紹介がありました。先生が講演中に強調されていたのが、「History Painting」は歴史画ではなく、「物語絵画」と訳すべきであるということ。イギリスではピューリタン革命の影響によって偶像崇拝が禁止されたことから、聖書にまつわる宗教画が発達しなかったという背景があります。イギリス人にとっての物語である戯曲が絵画の主題とされたことから、イギリス美術と物語は切っても切れない関係にあることを改めて理解することが出来ました。 

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喜寿を過ぎているとは信じがたい、河村先生の流麗かつ力強い語り口調に観客一堂熱心に耳を傾け、あっという間に講演終了となりました。

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続く2月27日はウィリアム王子が同時期に初来日ということで(残念ながら当館には来館せず…)「華麗なる英国王室 その過去と未来」と題し、上智大学英文学科教授である小林章夫氏をお迎えしました。こちらも平日にも関わらず、多くのお客様がご来場。小林先生はイギリス文学・文化をご専門にされ、英国王室に関する著書も多く執筆されています。今回は90分という限られた時間でしたが、ロイヤル・アカデミー創設年1768年に即位していたジョージ3世に始まり、ヴィクトリア女王やチャールズ1世、2世など個性豊かな面々を中心に英国王室の歴史250年分をぎゅっと凝縮して振り返って頂きました。豊富な裏話を交えた先生のお話しによって、当初縁遠いように思われていた王族にも人間的な親しみを覚えることが出来ました(特に現在チャールズ皇太子が在任期間歴代1位を更新中であることなど)。私はかつて世界史で学んだ知識を総動員しながら拝聴しましたが、イギリス史について熟知されている小林先生はいくらでもお話しが尽きないといったご様子でした。

今回のように展覧会に関係するテーマを設定し、関連イヴェントとしてその分野を専門にされている方にお話しして頂くことは、作品を多角的に捉えるための重要な機会なのだなと実感する今日この頃です。

(N.O)