2016年08月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

木村定三コレクション調査 立ち会いレポート

2016年08月02日

いよいよ夏本番、8月に突入ですね。

そしてあいちトリエンナーレ2016の開幕までついに10日を切りました!現場の熱量は日に日に増し、展示作業も佳境に入っています。皆さま、楽しみにしていてくださいね。

 


さて、トリエンナーレ準備のため、7月はまるまる閉館していた美術館ですが、展示室でディスプレイ設営や現場入りしたアーティストの作品制作が着々と進む中、実は収蔵庫では、木村定三コレクションの陶磁器の調査が繰り広げられていました。木村ご夫妻によるご寄贈以来、作品の調査・研究と目録の作成が断続的に進められており、今年度の対象は日本と中国それぞれの陶磁器コレクションです。新米学芸員の筆者は、今回初めて木村定三コレクションの調査に立ち会いましたので、その様子をレポートしてみます。


ここでは7月の初旬に行われた中国陶磁の調査についてご紹介します。専門の研究者である沖縄県立芸術大学教授の森達也先生にお越しいただき、我々学芸員は森先生の調査内容を口述筆記する記録係と、作品を扱うハンドラーに分かれて進められました。

 


↑まずは前日の準備から。作業台をセッティングし、対象となる作品を収蔵庫から取り出して順番に並べていきます。作品は、どの収蔵庫のどの棚にしまってあるか全て記録・管理されているので、リストを頼りにスムーズに探し出すことができます。
 


↑調査当日、ハンドラーが作品を箱から取り出し、速やかに採寸していきます。基本的に口径、底径、高さを測定し、形態が複雑なものに関してはその都度森先生に測定箇所を確認しながら進めていきます。ハンドラーのもう一つの作業は、作品の付属品のチェックです。例えば作品の箱には、その作品に関わる情報が書かれている場合が多く、それらをメモに書き写していきます。また箱を包んでいた風呂敷の角には、木村定三氏ご本人による作品名の記述が縫い付けられていたり、熊谷守一による箱書きも見受けられ、木村氏の作品への思い入れが垣間見られたりもします。




↑作品のスタンバイができたら、森先生が調書を確認しながら、作品を手に取りじっくりと観察・分析していきます。記録係は、先生がおっしゃる作品名(より正確な新しい名称に変更される場合があります)、作家名(あれば)、制作年代、産地(窯の名前)、技法材料などを書き取っていきます。作品そのものだけ、あるいは付属品から、調査者がいかに情報を引き出し、自らの知識や経験と結びつけてどのように美術史の中に位置づけていくのか。その様子を隣で見聞きできるのは、まさしく調査の生の現場ならではの刺激的な体験です。
   



↑作品の状態や、形態・文様の特徴など、専門外の学芸員には分からないことも実物を目の前に丁寧に説明していただきました。また、作品の写真を撮り直す場合、どのような角度から撮影すればその作品の特徴や魅力が伝わるか、的確な撮影方法も指導していただきます。

 

調査が終わると、ハンドラーが作品を元のように梱包して棚に戻し、次の作品を作業台に設置し採寸する、という作業を繰り返していきます。こうした流れ作業とチームワークのもと、2日間で約30の作品の調査が行われました。

今回の調査の立ち会いを経て、陶磁器作品を扱う上での作法を基礎から学ぶことができました(と言ってもまだ慣れない手つきなので、早く身につくように訓練が必要です)。また何より、実物に触れ、360度様々な角度からじっくりと作品を見ることができる貴重な機会となりました。これぞ学芸員の醍醐味ですね。森先生による次回の中国陶磁コレクションの調査は9月末。より手際よくお手伝いできるように頑張ります!(AK)