2009年05月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

 アヴァンギャルド・チャイナ展の関連イヴェントのひとつとして、GWの4日(日)と5日(月・祝)に「胡同(フートン)のひまわり」上映会が行われました。愛知県美術館では、これまでも企画展の関連イヴェントとして映画の上映をしたことはありますが、どちらかといえば、やることが少ない方のイヴェントといえます。thmnl_たくさんの来場者です.jpg

↑たくさんの来場者です。

「胡同(フートン)のひまわり」を上映した最大の理由は、展覧会の出品作家である張暁剛(ジャン・シャオガン)の作品が、この映画の主人公の画家が描いた作品として映し出されるからです。thmnl_上映中:ジャン・シャオガンの作品が展示されています.jpg

↑上映中:ジャン・シャオガンの作品が展示されています

同じく出品作家である王広義(ワン・グァンイー)のポリティカル・ポップの作品も出てきますよ。ちなみに、先に巡回した国立新美術館や国立国際美術館でも、この映画を上映しました。


 上映会では、映写技師さんにより35mmのフィルムを映し出しました。フィルムをセッティングしている間に、いろいろとお話を伺ったのでご紹介しましょう。映写機は2台使いました。私も知りませんでしたが、2台で交互に映し出すのだそうです。Aの映写機が映写している時に、Bの映写機に次のフィルムを準備し、映写機Aのフィルムが終わると映写機B(2巻目のフィルム)に切り替える。これを交互に繰り返すことで全巻(今回は7巻)のフィルムを映し出すわけです。間違って同時に両方の映写機から映像が映し出されないような仕組みになっているそうです。だから映画を見ている人には、切れ目なくずっとつながっているように見えるわけです。ちなみに音声もフィルムに入っていて、映写機の一部で音声を読み取っているとのことでした。

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↑2台の映写機、下の赤いケースにフィルムが入っています

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↑フィルムから音声を読み取る部分

運悪く上映会を見逃してしまった人は、レンタルDVD屋さんに急行!

(HF)
 

4月4日(土)と5日(日)にチャイナ展の最初のイヴェントが開催されました。
4日は美術評論家の費大為(フェイ・ダウェイ)さんの講演会と、フェイさんに国立国際美術館の建畠館長、当館の牧野館長を交えてのシンポジウムでした。フェイさんの講演では、伝統芸術、学院主義(アカデミズム)、現代芸術が三つ巴になっている現代中国美術の状況を図式化して見せてくれるなど、素人にもわかりやすいようにお話していただきました。続くシンポジウムでは、両館長からの質問に答えるかたちで、フェイさんから30年代と80年代とのつながり、都会と地方などについて興味深いお話が聞けました。
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フェイさん講演会


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シンポジウム 右から建畠館長、フェイさん、牧野館長

 5日は出品作家の孫原(スン・ユアン)さんのアーティストトークと、同じく出品作家の張培力(ジャン・ペイリー)さん、楊振中(ヤン・ジェンジョン)さんらによるシンポジウムを行いました。スン・ユアンさんは自身のパソコンの画像データをプロジェクターで写しながら、これまで作ってきた作品について説明してくれました。スンさんのパソコンと美術館のプロジェクターとの接続がうまくいかず、動画を二つ(犬を使った作品と虎を使った作品)見せられなかったのが残念そうでした。「死体派」として知られたスンさんですが、トークでは刺激の強い作品はあえて写さず、かなり自制してくれたようです。
 
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スンさんのアーティストトーク
脂肪吸引しているところ
 
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体脂肪を塗りこめた柱

続くシンポジウムで「メディア・アート」をテーマにしたのは、ジャン・ペイリーさんが中国のビデオ・アートのパイオニア、ヤン・ジェンジョンさんは映像作家だからです。この展覧会でメディア・アートの分野を担当した国立新美術館の長屋さんと文化情報センターで映像担当をしている越後谷さんにパネリストに加わっていただき、中国のメディア・アートの現状などを作家たちから聞き出してもらいました。
 
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シンポジウム 右からジャンさん、ヤンさん、長屋さん、越後谷さん(切れています)

同様のイヴェントは、先行の国立新美術館や国立国際美術館でも開催しており、名古屋では聴講者がどれくらい集まるのか心配していましたが、先行館に劣らないくらい多くの人に聴講していただきホッとしました。

おまけ
ジャン・ペイリーさんは、コワモテのがっしりとした体格なので近づきがたい雰囲気ですが、実は気さくな人で、開会式で作家代表として挨拶もしてくれましたし(二言三言でよいと頼んでいたのですが、本格的な挨拶でした)、シンポジウムでも大いに発言してくれました。

ゴールデンウィークには、第2弾のイヴェントとして映画「胡同のひまわり」の上映会がありますのでお楽しみに!                         

(H.F.)

 愛知県美術館の4月最初の展覧会、アヴァンギャルド・チャイナ展がいよいよ、オープンしました。開催が危機に陥ったこともある展覧会ですので、担当学芸員の感慨もひとしおですっ。

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↑10台のスクリーンを使う楊振中(ヤン・ジェンジョン)さんの作品


 今回の展覧会に合わせて、出展作家である張培力(ジャン・ペイリー)さんと楊振中(ヤン・ジェンジョン)さん、孫原(スン・ユアン)さんに加え、フランス在住の中国美術評論家、費大為(フェイ・ダウェイ)さんが来日されました。中でも孫原(スン・ユアン)さんは、出品作《老人ホーム》の状態が気にかかるそうで、展覧会が始まってからも熱心にメンテナンスをされています。

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↑今回の目玉作品の一つ《老人ホーム》

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↑作品の状態を確認する孫原(スン・ユアン)さん


 さて、この快活な孫原(スン・ユアン)さん、実は世界を震撼させた「死体派」を代表する作家さんです。
 「死体派」とは、90年代に中国に登場した現代美術の傾向の一つです。身体の存在、生死の問題を極限まで突きつめた「死体派」の作家さんは、動物や人間の死体を素材に使って作品制作をします。例えば孫原(スン・ユアン)さんは、雪原に血の滴るヤギの背骨200本を置いて《羊飼い》(1998年)という作品を制作しています。恐ろしい風景ですが、血と骨と雪の奏でる色と形のコントラストに美しさも感じてしまいます。どこか寓話的な雰囲気も漂いますね。


 そんな孫原(スン・ユアン)さんですが、ご本人はいたって気さくで感じの良い方。5日の午後には「アーティスト・トーク 孫原(スン・ユアン)に聞く」というイベントも行われます。直接、彼の話を聞いてみたい方はこのチャンスをお見逃しなく!!

イベントの詳細は愛知県美術館HPhttp://www-art.aac.pref.aichi.jp/event/index.html

(F.N)

さて、アヴァンギャルド・チャイナ展は大阪の国立国際美術館での展覧会が終了し、いよいよ残すは名古屋会場での開催となります。というわけで、作品の搬出作業のために大阪へ行ってきました。

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↑国立国際美術館です

 絵画作品は通常どおり、壁から外して輸送用の箱(クレートと言います)にしまいます。この辺の手順は、以前、クリムト作品の輸送の際にお話したとおりですね。一方、孫原+彭禹の《老人ホーム》などの場合はそうはいきません。電気回線をオフにした後、おじいさんをみんなで持ち上げて、箱にしまいます。

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↑丁乙の絵画作品を壁からはずしています。

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↑《老人ホーム》のお爺さんを箱につめています

 全ての作品を箱につめ終えたらトラックに乗せて名古屋へ出発です!名古屋へ帰ったら作品の展示が待っています。皆様に作品をお見せできるのも、もうすぐですよ。

(F.N)

* おまけ
国立国際美術館のある大阪、中之島は一見、ビジネス街なのですが、大通りを一本入ると色々なお店のある楽しいエリアです。中でも、国立国際美術館のすぐ横にあるgrafはおすすめです。grafは家具や空間のデザインから展覧会企画(注1)にいたる幅広い活動で知られていますが、2階のカフェもなかなか良いですよ。

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↑塩キャラメルバタークレープ!

注1:ただいま愛知芸術文化センターで展覧会をされている三沢厚彦さんとも、4月より軽井沢メルシャン美術館で始まる展覧会をはじめ、しばしば一緒にお仕事されています。
 

 3月8日にワイエス展が終わり、次のアヴァンギャルド・チャイナ展が始まる4月3日まで、企画展はしばらくお休みです(22日まで所蔵作品展だけは開いていますヨ)。
 展覧会をしていない企画展示室の中はいったいどうなってしているのでしょう。閉ざされた扉の向こうでは、チャイナ展の準備が着々と進んでいるのです。
 チャイナ展は22日まで大阪の国立国際美術館で開催中なので、それが終わって作品が愛知県美術館に入ってくるまでに準備できることはしておかないといけません。できることは展示室内のディスプレイ工事です。絵を飾る壁を作ったり、映像を映す個室(ブース)を作ったりしています。
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↑壁を立てる位置を計測

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↑壁になるパネルをつなげていく

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↑半分くらい立ったところ

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↑つなぎ目を合わせる

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↑パネル同士を留めてほぼ完成

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 ↑目地にトノコを塗って経師の準備。プロジェクターを付ける台も取り付け完了


 写真は、がらんとした展示室に楊福東(ヤン・フードン)の作品を映すための幅3メートルの壁8面を円弧状に立てていく様子です。東京では使ったけれど大阪では使わなかったプロジェクター用の台だけが先に届いたので、壁に取り付けました。あとは壁紙を貼れば受け入れ準備の完了です。
 
 壁の裏の空間はどうするのかって? やはり気になりますか。映像機器が入っていた箱などを収納する倉庫として使います。
(H.F)

  展覧会では作品を展示する支持体(壁や台)が必要です。愛知県美術館の多くの展示室には構造体としての壁のほかに可動壁があり、それを動かして区画を作ることができます。チャイナ展(通称)の場合、作家ごとに必要なスペースがかなり違うため、簡単に可動壁で区画を作るわけにはいきません。可動壁を使うとだいたい同じ面積の区画になってしまうからです。
  チャイナ展の展示計画の最大の問題は、先行して展覧会が行われた(行われている)国立新美術館と国立国際美術館より、愛知県美術館は展示に割けるスペースがずっと狭いこと。いつもは所蔵作品展で最初に入る展示室4やその入口の前室1と呼ばれる部分、さらにいつもレームブルックの彫刻が立っているラウンジや、ショップ前のロビーまで使ってなんとか収める計画です。
  どの作家の作品をどこに配置するか、思案を重ねながらいろいろと案をつくった結果、Ver.5でやっと決着を見ました。一昔前は、100分の1の縮尺の展示室の図面に鉛筆と定規を使って書き込んでいましたが、一点作品を動かすだけでその壁全体の作品を書き直さないといけないという面倒くささがありました。今はパソコンを使うので、移動も簡単(何年か前にパソコンでそれをやり始めたのは、何と一番年長のM館長!です)。thmnl_イラストレーターで作った平面図2枚.jpg

↑イラストレーターで作った平面図

それでも、この展覧会では映像用のブースを7つも作らないといけないし、壁もいくつも立てないといけないので、平面図だけでは空間的な感じがいまいちつかみきれません。そこで、ホコリをかぶっていた企画展示室のマケット(立体模型)を引きずり出し(形跡から、最後に使われたのが2002年の「中西夏行展」)、パネルを切って壁を作ってみました。想定していたよりも高さが必要な壁があることが判明!!

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↑企画展示室のマケット


  チャイナ展では、通常は所蔵作品展の入口になっている所がチャイナ展の入口になり、なんと順路が逆回り!どうしてそうなったのかというと、楊福東(ヤン・フードン)の映像作品は、通常の企画展で最初に入る部屋(展示室1)しか適当なスペースが取れず、この作品は2006年の近作なので、最初よりも最後に見せたい...展示する場所を変えられない以上は順路を逆にするしかないということになったわけです。このような試みは初めてなので、お客様にはとまどわれる方もいるかもしれませんが、逆に新鮮味を感じさせてくれるのではないかと期待もしています。

(HF)
 

  来年度最初の企画展「アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―」に向けて、ポスターやチラシなどの印刷物の準備が進んでいます。この展覧会では、デザインを京都の豊永政史さんにお願いしました。豊永さんはこの展覧会のカタログのデザインもしていますし、第二会場である国立国際美術館のポスターやチラシも手がけています。

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チラシ:左から国立新美術館、国立国際美術館(デザイン=豊永政史)、愛知県美術館/校正刷り(同)

  第一会場の国立新美術館のポスターやチラシを初めて見たときの印象は、「あれ?! ずいぶんと地味だなあ」というものでした。展覧会の最初の会場はいろんな点でいちばん大変なのですが、とりわけこの展覧会は無事開催できただけでも奇跡的! だからポスターやチラシが地味というのは次元の違う話になります。第二会場の国立国際美術館では豊永さんにデザインをお願いすると聞いていたので、どんなデザインになるのか期待していたのですが、同じデザインを愛知で使うにはちょっとシブすぎました。すっきりとしたデザインでとても綺麗なのですが・・・。愛知会場では、もっと派手で、もっと人目を引くようなデザインが必要と考えていたので、こんな感じのものをという意向をデザイナーに伝え、こちらの要望を取り入れてもらうかたちでデザインをお願いしました。おかげさまで希望通りのハデハデで人目に付きやすいポスターやチラシができそうです。

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B0サイズのポスター/校正刷り(デザイン=豊永政史)

今回はB0サイズのポスターもつくります。駅などで普通に見かけるポスターがB1サイズで、それを横に二つ並べた分の大きさです。愛知県美術館でこれまでB0サイズのポスターを作ったのは、2005年の「自然をめぐる千年の旅」展と2007年の「若冲と江戸絵画」展の二回だけです。大きく派手なポスターは、きっとみなさんの目にもとまることでしょう。

(HF)

さてさて、中国現代アートの決定版「アヴァンギャルド・チャイナ」展ですが、東京での展覧会も無事に終わり、次は大阪の国立国際美術館での開催となります。大阪が終わると、来年の4月からいよいよ愛知県美術館での開催です。
 ところで、どうして愛知県美術館の学芸員が他の美術館での開催にこんなにも興味津々なのかお分かりですか。それは、いくつかの美術館などが協力しあって一つの展覧会を作っているからです。もちろん、一館だけで展覧会を企画することもありますが、複数の美術館が集まって協力すると、そのぶんアイデアや人材、経験、お金も集まります。一緒に展覧会を作り上げた美術館同士、お互いの状況は気になるものです。

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↑ 現段階での会場展示プラン。どこか入口になるのでしょうか・・・!?


 さてさて、そんな「アヴァンギャルド・チャイナ」展なのですが、愛知県美術館では、今、展示プランの計画に本格的に取り掛かったところです。楊福東(ヤン・フートン)、曹斐(ツァオ・フェイ)などの映像作品の場合、機材の設置や配線も含めて会場プランを作らなければなりません。また、車椅子のお爺さん達(孫原・彭禹の《老人ホーム》)を、どのように安全な場所で動かすかも重要な問題です。狭い場所だと、鑑賞者や柱にぶつかってしまいそうになるからです。
 ともあれ、この展覧会は作品数が多いうえ、絵画や彫刻という枠に収まりきらないいろいろなものがあるので、ずいぶんとはみ出し気味(!?)の展示になりそうな予感がします。
 
(F.N)

 東京六本木の国立新美術館で好評開催中の展覧会「アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―」が、大阪中之島にある国立国際美術館を巡回したあと、来年の4月から愛知県美術館で開催!

 

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▲国立新美術館

 ということで、先月国立新美術館での展示作業に立会ってきました。額に入った絵を展示する一般的な展覧会と違い、映像作品やインスタレーションの作品がいくつもあるので、愛知での展示までに解決しなくてはならない問題がいろいろあることがわかりました。ひとつは電気の問題です。愛知県美術館の展示室は、たくさんの映像機器を同時に使うようなことを想定して設計されていません(電気の容量が足りん!)。そこで国立新美術館のように配電盤から展示室に太いケーブルを引き込むような事前の工事が必要になってくるわけです。

 

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▲映像機器の配線中

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▲老人の横顔

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▲充電中の老人たち

これはスン・ユァン+ポン・ユゥの作品《老人ホーム》です。精密な老人の人形が、展示室内を動き回ります(作家のサイトで動画が見られます)。

おまけ:展覧会タイトルにある「当代」は中国語で、日本語では「現代」の意味です。

(HF)