2009年11月123456789101112131415161718192021222324252627282930

自画像展 記念講演会

2009年11月18日

先日、本展出品作家である、田沼武能(たぬま たけよし)さんにお越しいただき、記念講演会を開催しました。「あの時写真家たちが見たもの」というタイトルが付けられた講演会では、田沼さんご自身の当時のことから、今回出品作家の方々の活動までお話いただきました。


002田沼さん.jpg

↑田沼武能さん


色々なエピソードをお話いただきましたが、中でも興味深かったのが土門さんとの始めての出会いの場面です。

田沼さんが、土門さんの助手をしていたサンニュースの先輩の人と土門さんのお宅へと遊びに行き、2階の書斎でコンタクトプリントを見ていたところに、土門さんが帰宅。その様子を見た土門さんは、仁王立ちになり顔を真っ赤にしたそうです。当時、田沼さんは木村伊兵衛さんの助手をしていたこともあり、スパイと思われて当然だったようですが、怒鳴るようなことはなく、その後、お茶を出されたそうです。
そこでは、土門さんとその助手がいる中、木村さんの現像で使っている現像液の種類や時間などの暗室での処理を詳しく聞かれたそうです。スパイをしに土門さんの所へ行ったわけではないですが、逆に木村さんの仕事を聞かれるかたちとなってしまったみたいです。しかし、このことについて木村さんが怒るようなことはなく、それ以来土門さんにも可愛がってもらった、と話してくれました。

 

001自画像講演会場.jpg

↑会場風景(スクリーンに映っているのは、1949 年に浅草国際劇場屋上で撮影された田沼さんの《SKDの踊り子》です。 )

 

そのほかにも、色々な話を聞くことができました。田沼さんから、当時の様子を生の声で聞けたことは、大変興味深く勉強にもなり、また、聴講者からの質問にも丁寧に答えられ、有意義な講演会となりました。

(RK)

 6日(金)から、『日本の自画像』展が始まりました。今回の展覧会は、愛知県美術館ではめずらしい、写真の展覧会です。ちなみに、当館初の写真展は2006年に開催した「愛知曼陀羅?東松照明の原風景」展です。

001J会場1.jpg

上の会場写真をみると、はらっぱ展の時のウキウキするような楽しげな雰囲気から、ガラリと替わり、しっとりとした落ち着いた雰囲気になっています。作品点数は、特集展示も合わせると236点もあり、写真作品以外にも今回の出品作家が当時出版していた写真集の初版本も数点展示されているので、かなり見ごたえがあると思います。展示室にあるイスで休憩しながらみるといいと思い、各所にイスを設置したので、ご活用下さいませ。
002J会場2.jpg


基本的に、企画展では一般公開に先駆けて、開会式を行い、関係者をお呼びして展示をご観覧いただく内覧会というものを実施しています。(過去の記事にも何回か登場していますね。)美術館関係者がたくさん集まるVIPな集まりです。もちろん自画像展でも開会式&内覧会を開催しました。当日は、テレビクルーがきての取材もありました。どこかのタイミングでテレビ放映されるかもしれません。ちなみに、テレビ愛知です。


003j開会式.jpg

開会式での1枚。

自画像展、始まって1週間ですが、会期が短いので(12月13日まで)、お早めにお越し下さい。今週末には、出品作家の田沼武能氏による記念講演会も開催されるので、ぜひご来場下さい。

(RK)

 

 

 

 「日本の自画像展」の準備は、ポスターもできあがって、いよいよ最終段階を迎えています。

thmnl_自画像ポス太.jpg

この展覧会では、木村伊兵衛、東松照明、土門拳、奈良原一高といった著名な写真家11名の作品168点をご紹介します。これらの作品には、敗戦直後の厳しい社会状況から、復興の道を歩み、経済成長を軌道にのせた20年間が記録されています。そこにはたとえ貧しくても、明るく、力強く生きてきた人々の姿があります。敗戦の傷跡、占領下での生活、伊勢湾台風の被害、歌声喫茶など、当時をご存じの方々は、その情景にご自身を重ね合わせていただけることでしょう。より若い世代の方々には、ご両親、お祖父さんやお祖母さんたちが生きてきた時代を、きっと身近に感じていただけるに違いないと思います。
 ポスターの作品は土門拳の《紙芝居》です。まだ家庭にテレビがなかった頃、子どもたちの楽しみは、街角に集まって楽しむ「紙芝居」や「しんこ細工」でした。紙芝居を食い入るように見つめる子どもたち、そこに自分もいるように感じていただける方も少なくないと思います。そういえば髪型も、男の子は刈り上げで前髪を揃え、女の子は「おかっぱ」がお決まりでした。テレビやパソコンが普及して、いつの間にか私たちの生活は大きく変わってしまいました。放課後も塾に通い、家にいてもテレビゲームなどに熱中しているせいか、街中で遊ぶ子どもたちの姿を見かけることは少なくなってしまいましたが、ここには皆で遊ぶ元気な子どもたちがいます。
「あの時 私は」という言葉には、写真家それぞれが何を見ていたのか、そして作品のなかの一人一人がその時代をどのように生きていたのか、ということへの思いが込められています。
 日本を代表する写真家たちの優れた作品と、そこに記録された時代と人々、その両方を楽しんでいただける展覧会です。また、同時に当館所蔵の東松照明《愛知曼陀羅》から、選りすぐりの作品も特集展示します。どうぞお楽しみに。
(MuM)