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大ローマ展、開幕

2010年01月07日

あけましておめでとうございます。

今年もこのブログでは、愛知県美の最新のできごとをご紹介していきます。どうぞよろしくお願いします。
 

新年の愛知県美は、今年度最後の企画展「大ローマ展」で幕を開けます。6日からの公開を前に、5日に開会式と関係者の内覧会が行われました。

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↑開会式のテープカット。美術館のロビーが満員になるほどの盛会でした。

「大ローマ展」は、古代ローマ帝国の繁栄を当時の作品を通じて紹介する大規模な展覧会です。開会式・内覧会には、ふだんにも増して多くの方が出席されました。イタリア各地から選りすぐられた彫刻、絵画、工芸品や日用品などの貴重な作品は、いずれも約2000年も前のものです(ほぼイエス・キリストの同時代です)。しかし、その遠い時間がかえって不思議に感じられるほど、現代の私たちの目にも色あせていない、美しさ、完成度をそなえています。会場では、日本がまだ弥生時代だったころに、これほど質の高い文明が栄えていたことや、現代に通じるその新しさに驚く声が多く聞かれました。
展示作品には、日本初公開のもの、イタリアでもふだんは見ることができないものも多く含まれており、鑑賞のまたとない機会となります。日本でこれだけの規模で古代ローマの遺産が紹介されること自体、めったにないことです。

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↑《皇帝座像(アウグストゥス)》

ローマ神話の最高神ユピテルの姿になぞらえて作られた、巨大な大理石の皇帝像です。

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↑(《アレッツォのミネルウァ》

紀元前3世紀、ギリシア時代のブロンズ像で、イタリア国外に出ること自体が通常ではありえないとされる重要作品です。

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↑(《豹を抱くディオニュソス》

東京大学の発掘調査団が、ヴェスヴィオ山麓で発掘し、大きな話題となりました。とても優美な青年像です。

展覧会は、このあと2会場を巡回しますが(青森県立美術館、北海道立近代美術館)、愛知県美が最も西の会場に当たります。関西方面からのお客様も、ぜひお待ちしています。愛知県美での展覧会は3月22日まで。この春、古代ローマへの旅をお楽しみ下さい。

(M.Ma)
 

1月6日から始まる大ローマ展にあわせて、鑑賞ガイドを作成しました。ご協力いただいたのは、愛知県美術館の鑑賞学習ワーキンググループの中学・高校の有志の先生方です。お忙しいなか、10月から11月の土日にミーティングを幾度か行なって、準備してきました。お集まりいただいた先生方の専門教科が、美術のみならず、国語、歴史と多分野であったことから、ご専門を活かしたアイディアが内容に反映されました。
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↑打合せの様子


実際の展覧会を見ずに作成しなくてはならないため、本展カタログやローマ関係の資料を手がかりに構成を検討し、まず、古代ローマについて、来館者がどのようにイメージするのかという点から意見が交わされました。そうしたなか、中学校で使用する副読本の歴史年表には、ローマ帝国の滅亡の事項から始まるものがあるという指摘があり、中学生以上を対象のガイドとするには、まず古代ローマについてなにがしかイメージ出来るように、古代ローマ予備知識を載せようという方針が決まりました。

古代ローマ帝国の地図や年代史といった情報はもとより、国語の先生からのご提案で、ローマに関することわざ・格言も載せることになり、古代ローマの歴史的事件がよりリアルにドラマチックに感じられるようになりました。

さらに、こうした歴史的事件や状況を視覚的に印象づけるための挿絵も先生方が描きました。ここにご紹介するのは、紙面の都合上、残念ながら掲載できなかった挿絵です。

中学校の美術室に、古代ローマの胸像をモデルとする石膏像があるということからイメージされたものや、当館所蔵作品の古代ローマ人を描いた梅原龍三郎《若き羅馬人》など。古代ローマを中学生にどのように身近に感じてもらえるか、学校現場にいる先生方ならではのご発案によるものでした。

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↑皇帝ネロ

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↑ローマ石膏像を写生する女子中学生

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↑愛知県美術館蔵 梅原龍三郎《若き羅馬人》

ご協力いただいた先生方、どうもありがとうございました。


大ローマ展は展示の準備も着々と進み、1月6日からいよいよ開会します。鑑賞ガイドを片手にどうぞ展覧会をお楽しみください。

(MF)



 

 本年度の目玉、「大ローマ展 古代ローマ帝国の遺産 栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ」が、お正月明けからいよいよ始まります(2010年1月6日[水]から3月22日[月・振休]まで)。現在、展示作業の真っ最中です!

 

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▲この巨大な箱の中にアウグストゥス像が!

 

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▲アウグストゥス像が姿を見せる瞬間。

 

 本展のメイン作品《皇帝座像(アウグストゥス)》の展示作業風景です。とても大きくて重い作品なので(2メートル15センチ、約3トン)、「門型」(もんがた)と呼ばれる機械を使って吊り上げ、苦労して展示台の上に載せました。箱が外され、アウグストゥスの神々しい姿が現れると、作業を見守っていた皆の口から、思わず「おお!」という感嘆の声が漏れました。

 

 

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▲組み立て前の《アレッツォのミネルウァ》。所蔵館の担当者が各パーツを点検中です。

 

 本展特別出品となる古代ギリシアのオリジナルのブロンズ像《アレッツォのミネルウァ》です。1体の彫刻作品ですが、このようにいくつかのパーツに分かれます。

 

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▲だんだん組み上がって来ました。

 

 時間をかけて、パーツを1つ1つ丁寧に組んでいきます。ようやくあとは首だけとなった段階で、周囲の期待はクライマックスに! 無事に首が据えられると、皆の大きな拍手が会場に鳴り響きました。

 

 

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▲ポンペイの「黄金の腕輪の家」の壁画群。

 

 ポンペイにあった豪奢な個人邸宅「黄金の腕輪の家」の壁画《庭園の風景》の内の二壁分が、元の配置のままに展示されます。東壁(左側)の3段と南壁の2段が組み上がったところです。このあと、東壁の方にはさらに「ルネッタ」と呼ばれる半円形の部分が載せられ、全高は展示室の天井(5.5メートル)ギリギリにまでなります。

 

 

 こんなふうに見所いっぱいの大ローマ展ですが、それらがどのようにして展示されたのかを思い描きながら各作品を鑑賞していただければ、きっと展覧会の面白さが増すことと思います。展示作業は順調に進行中。お正月明け6日からの公開です。どうぞお楽しみに!
(T.O.)

  国立西洋美術館で開催中の「古代ローマ帝国の遺産―栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ―」展は、来年正月からいよいよ愛知県美術館で開催です。正式な展覧会タイトルは長いので、愛知会場では「大ローマ展」というタイトルをメインで使っています。愛知県美術館で開催される古代文明をテーマにした企画展としては、2002年のポンペイ展、2006年のペルシャ文明展に続く3回目になります。愛知会場のポスターやチラシなどをすでにご覧になられた方も多いのではないでしょうか。たくさんの来館者が想定される展覧会なので、前売りや広報活動をいつもより早くから始めています。

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↑愛知県美術館ロビーに掲示されているポスター 左に一部見えているのは国立西洋美術館のポスター

 どの作品を展示室のどこに配置するといういわゆる展示プランを練り、作品を展示するためにどういう台やケースが必要になるのかということを考えるにあたり、すでに開催中の国立西洋美術館(略称西美:セイビと読む)の展示をO学芸員と下見してきました。当日は愛知県美術館(略称県美:愛知県内のみ通用)をはじめとする各巡回館の担当学芸員が参集し、西美でこの展覧会の展示を指揮したTさんの解説を受けながら展示会場や空箱を納めた収蔵庫を見せてもらいました。

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↑国立西洋美術館 古代ローマ帝国の遺産展 会場入口

 一番大きな大理石彫刻《皇帝座像(アウグストゥス)》は重さ3トン。10階の県美にこの作品を上げるためのエレベーターの重量制限はなんとかクリアです。エレベーターに載せられない作品は基本的に展示できないのが県美の宿命です。西美では床下に梁が通っている場所にこの作品を展示しているそうです。県美でも図面で建物の内部構造を確認して、梁の上にこの作品がくるような展示プランを作る必要があります。床面積当りの耐荷重が足りないというわけではないのですが、そうした場所に重い作品を設置しておいた方が絶対的に安心だからです。

 
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↑《皇帝座像(アウグストゥス)》 彫刻が乗る草色の台座の中は、重量に耐えられるよう鉄骨で頑丈に骨組みされています 

 作品が大きいと、それが入ってきたクレートと呼ばれる木箱も大きくなります。《皇帝座像(アウグストゥス)》の場合、縦横が約2mに高さが約3mで、内箱もある二重箱になっています。作品の抜け殻とも言うべきクレートは、展覧開会期中は収蔵庫など温湿度が管理された部屋に保管しておかないといけません。この大ローマ展くらいの規模になると、クレートの容量が半端ではないのです。県美にはそうしたクレート類を一時保管するための部屋がありますが、果たして全部入るのかちょっと心配です。

 バーチャル・リアリティの映像も見せてもらいました。「これって本当にバーチャルなの?」って思うくらいにリアルです。西美でもこのコーナーは予想以上に人気だそうです。今から楽しみですね。

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↑この壁画断片のありし日の様子がバーチャル・リアリティ映像で見られます

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↑宝飾品も綺麗に展示されています

(HF)