2013年04月123456789101112131415161718192021222324252627282930

 3月24日に国宝《雪松図屏風》の展示期間が終了し、いくつかの作品が入れ替わりました。新しく展示された作品のうち、春夏秋冬の月を四副の掛軸に描き分けた《四季の月図》には、お客様から「これには参ったね!」と感嘆の声が聞かれました。このほかにも《四季草花図屏風》(袋中菴挿華 山階御流蔵)や、応挙と明治時代の山元春挙による滝の絵競演などが加わりました。

                                 四季の月図実写.JPG 

          《四季の月図》白鶴美術館蔵

    応挙と春挙の滝.JPG

右が応挙《青楓瀑布図》(サントリー美術館蔵)、左が山元春挙《瀑布図》(滋賀県立近代美術館蔵)

 そして本日から、《雪松図屏風》があったケースに重要文化財《藤花図屏風》(根津美術館蔵)が入りました。応挙の代表作の一つとされるこの屏風は、1995年に没後200年記念として京都国立博物館で開催された展覧会や、2003年に大阪市立美術館・江戸東京博物館・福島県立美術館で開催された応挙展にも出品されなかったほど大切に扱われている作品で、今回特別に2週間展示のおゆるしをいただきました。

藤花図全景.JPG

 金地に「付立て」(つけたて)と呼ばれる技法で一気呵成に描かれた太い墨線が、精緻に描かれた花房と組み合わされることで藤の幹や枝となって大きな空間をはらんでいます。

 藤の花は青と紫、白を重ね合わせて複雑な色あいが表現され、油絵のように絵具が盛り上がっているかのようなボリュームが感じられます。この機会にぜひ実物をご覧ください。

               藤花図アップ.JPG

 なおこの《藤花図屏風》展示にあわせて、藤色(紫色)の衣類や小物などを身につけた方へ、当日観覧料金から100円の割引をしています。(TM)
 

応挙展は連日たくさんの来館者でにぎわっています。

DSC_0016.JPG

開館前には多くのお客さんがお待ちかねです 3月17日(日)10時前

いよいよ前期の展示があと1週間を残すのみとなりました。前期にしか見られない作品には《楚蓮香図》《五羽鶴図》《芭蕉図襖》などがありますが、とりわけ国宝《雪松図屏風》はこの機会にぜひとも見ておきたい作品です。

山下裕二先生がカタログにも書いていますが、江戸絵画で国宝に指定されている作品は数えるほどしかありません。しかも若冲も蕭白も芦雪も国宝指定は1点もないそうです。そんな数少ない国宝に指定されている江戸絵画のひとつが応挙の《雪松図屏風》なのです。

DSC_0005.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国宝《雪松図屏風》展示風景

特に今回の展示では、遠くから屏風全体を眺められることも好評です。また、展示ケースの下側からも弱い照明をあてていることにより、画面下方にちりばめられた金砂子(きんすなご)が輝き、作品全体が幻想的といえるほどの神々しい美しさを放っています。展示作業の最後にこの屏風の照明を点けた時、私(tm)は涙が出ました。 

《雪松図屏風》を見られるのはあと1週間(24日[日]まで)です。まだご覧いただいていない方はお早めに起こし下さい。

(hf/tm)
 

2007年に愛知県美術館で開催した「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」展を覚えていますか。この展覧会では入場者が9万人を超え、たいへん盛況でした。

price003.jpg

《雨竹風竹図屏風》の前で

日本美術の大コレクターとして世界的に有名なジョー・プライスさん夫妻が、山下裕二先生と一緒に応挙展を見に来てくださいました。滞在時間は1時間もありませんでしたが、気になる作品の前ではじっと立ち止まり、自分の世界に入り込んでいるようでした。

price002.jpg
 《牡丹孔雀図」》に見入るプライスさん

今日はじっくりと作品と対話ができなかったので、日をあらためてまた来館してくれるようです。運がよければプライスさんにお会いできるかもしれませんね。(hf)
                     

price001.jpg

山下先生と大乗寺障壁画の前で
 

昨日2月28日、円山応挙展?江戸時代絵画 真の実力者?の開会式を迎えました。愛知芸術文化センターの開館20周年記念イヤー掉尾を飾るこの展覧会、オープン前からも出品内容や前売券等について多数のお問い合わせをいただいておりました。そうした皆様のご期待を示すかのように、開会式には500名を超える多数のお客様にご来場いただきました。

oukyoop03.jpg
△テープカットの様子

会場に並ぶ応挙の代表作の数々を、皆さんじっくりと長い時間をかけて鑑賞していらっしゃいました。特に、今回の目玉中の目玉である大乗寺の襖絵の展示は、パナソニックのご協力により、日中から日没までの自然光を再現する照明を設えました。応挙がこの空間に託した演出の意図を感じようと、多くの皆さんが足を止めて、光の移り変わりによる、見え方の変化に見入っていらっしゃいました。

oukyoop04.jpg
△皆さんじっくり見入っています。

展覧会は、4月14日までです。お見逃しなく!

展覧会公式ウェブサイト

(T.I.)

準備中2

2013年02月24日

 いよいよ本年度の最後を飾る企画展、円山応挙展の準備も最終段階になってきました。そうです、作品が展示室に並び始めました。数年前に企画案が館内会議に提案され、内容はもちろんのこと、どのような枠組みでやるのか、時期はいつか、予算はどうするかなどについて検討し、開催する方向になってからも、どのような人たちの協力が得られるのか、借用先の協力は得られるのかなど、様々な問題を解決しながらようやく作品展示まで至りました。担当者は展示作業が始まってからも、ぎりぎりで作品借用に出かけたり、もちろん図録制作と並行しながらの作業、また、音声ガイドの原稿チェックやグッズ販売についても目配せしながら、さらには協賛者への対応など、本当にいつもながら舞台裏では様々な作業が進められています。

 

  照明3.jpg

 


 今回の展覧会の見どころのひとつに、重要文化財である大乗寺の障壁画の展示があります。前のブログでもお伝えしましたが、単にケース内に並べるのではなく、実際の客殿のような再現展示をめざし、こだわりのディスプレイがなされています。さらに照明についても、単一ではなく、朝、昼、夕の自然の光の違いを体感して頂けるように、パナソニックの協力によりLEDライトを使用した変化にとんだ照明を準備しています。

 

 


 企画協力をいただいた明治学院大学の山下裕二教授も述べられていましたが、じっくり見ていると光の変化が孔雀の立体感をより増して、応挙の狙いが分かる気がします。

 

照明1.jpg

 

 

 写真は天井部分にある今回の為の特別な照明設備で、郭子儀図襖を照らすところです。郭子儀図襖といえばちょうど2月22日付の新聞各紙には、小学館の日本美術全集の発売の大きな広告が出ていました。そこにこの襖絵の写真が使われていました。ご覧になった方も多いと思いますが、今は愛知県美術館で本物を見ることができます。

 

 

照明2.jpg日本美術全集.jpg

 

 

 

 

 ほかにも、作品保存には細心の注意を払い、たとえば、密閉のケースでは調湿剤といって、ケース内の湿度を一定に保つ役割を持ったものを来館者の目に届かないところに入れています。もちろん展示室そのものは全国の美術館の中でもトップクラスの空調管理を行っていて、温度、湿度を一定に保っています。

 

 

調湿剤.jpg

 

 

 

 さて、円山応挙展の準備ばかり取り上げてきましたが、愛知県美術館では企画展ごとにコレクション展の展示内容も大きく展示替えをしています。次のブログでその紹介もしたいと思いますが、ここではまず昨年の4月以降はじまった若手作家を展示室6で紹介するシリーズAPMoA Project, ARCHのことに触れておきます。

 

 

佐藤香奈2.jpg

 


 

 

 

 

 

 今回の作家は佐藤香菜さんです。愛知県生まれで、沖縄県立芸術大学で学んだ彼女の作品は一見するとオーソドックスな平面作品ですが、よく見ると刺繍も使われ、ペインティングの強さと装飾性とが融合した独自の世界を作っています。

 

 

佐藤香奈1.jpg

 

 
 展示では、担当の大島学芸員といっしょによりよい展示を目指して、数センチ単位の微妙な移動を重ねながら位置決めをしていました。出来上がりは是非会場でご覧になってください。お楽しみに。(ST)

 


佐藤香奈.jpg

 愛知県美術館の展示室では、次回展覧会の円山応挙展の準備で大忙し。「クリムト黄金の騎士をめぐる物語」展以上に会場設営(ディスプレイ)に一層力が入っています。日本画の展覧会の場合、基本的に作品はケース内展示となりますので、会場は作り付けのケースのほか、普段は美術館のバックヤードに収納されている移動式の展示ケースを出したり、また、レイアウトによっては仮設のケースを作って展示準備をします。仮設とは言ってもガラスや照明も入る本格的なものです。

 disply4.jpg

 今回の展示での見どころのひとつとなる大乗寺の障壁画の展示については、特にこだわった作り込みがされています。ここだけはガラスケースを作るのではなく、大乗寺の客殿を再現展示するものです。

 disply5.jpg

 畳が敷かれた様子が写真からわかるでしょうか?畳の縁の文様は、大乗寺で使われているものと同じものが調達されました。他にも釘隠しは大乗寺に使われているものをかたどりさせてもらって同じ文様のものを作っているそうです。

disply1.jpgdisply2.jpg

 建付けが終わってからも木部の色を修正したりして、担当業者の人にもうんとこだわってもらっています。さて、この部分に重要文化財の襖絵が入るとどんなに見えるでしょうか?

 disply6.jpg

 現在実際の大乗寺では、作品保存上の観点から、本物の襖絵は収蔵庫にしまわれ、複製画が嵌められているということです。ですから愛知県美術館で実作品を見られるというこの展覧会は稀な機会となります。しかもこの部分にはガラスがありませんし、照明についても特別に朝昼夕の自然光の変化を再現した照明となりますので、見逃せない展示となることでしょう。出来上がりを大いに期待していただいて、ご来館ください。(ST)

ただいま準備中:応挙

2013年01月17日

 「クリムト 黄金の騎士をめぐる物語」展も中盤に差しかかってきましたが、日を追うごとに入場者も増えています。そんな中美術館内では次回企画展の準備が着々と進められています。次回の企画展は江戸絵画の真の実力者として名高い円山応挙です。

 P1080325.JPG

 ポスターやチラシのデザインも決定して、もう間もなく広報も始まります。また、この展覧会は、名古屋市美術館で四月から開かれる「上村松園」展とのタイアップも準備しています。

応挙展早割ペアセット券-表1218.jpg

 1月22日からは特別前売りのチケットとして、応挙展でも松園展でも使えるダブルチケットを準備しています。応挙展を2回見てもいいですし、応挙展と松園展を一回ずつ見ても良いチケットです。一回当たり900円となりますので当日1300円からすると相当お得なチケットとなります。販売は期間限定ですので忘れずにゲットしてください。


 P1080328.JPG
 近世絵画を語るうえで欠かせない絵師!応挙は円山派の祖として写生を重視した親しみやすい画風で人気を博した画家でした。今回の展覧会では、西洋の遠近法を用いた若年期の「眼鏡絵」から国宝の《雪松図》(三井記念美術館)・重要文化財《藤花図》(根津美術館)や初公開作品を含む代表作を紹介します。障壁画(ふすま絵)では有名な大乗寺客殿の《松に孔雀図》と《郭子儀図》(ともに重要文化財)を展示してその空間を愛知県美術館の展示室に再現し、自然光のように変化する照明で応挙の意図を体感していただこうという計画もあります。

 見どころいっぱいの展覧会ですのでどうぞ期待してください。(ST)